
月曜日の男です
「月曜日の男です」と、SNSにビールの写真をアップするようになり、もう1年が経過しました。そうです、『ミニエ』の中にあるビール屋さん『OUR BREWING』で、月曜日に「アルバイト」をしています。
なんでアルバイトなん? という疑問が出てくるでしょう。その疑問に対して多くは「お金ないんだね」となるでしょう。でも、一人だけ「宮ちゃんのやってる意味がわかる」と、言わなくても理解してくれる人もいました。流石るみちゃん、と感心しました。
「月曜日の男の理由を知りたい」という声が西ちゃんからありましたが、よくよく考えたらまとめていないな、と思い、書き留めてみました。何故アルバイトをしてビール屋さんのカウンターに立っているのかを。

話を聞きたい
そもそもですが、接客業は好きです。人とお話をするのが好きです。そうでなかったら25年も雑誌の編集で10000人も取材はできないです。人に興味があるんです。どんな思いで人生を生き、どんな思いで仕事をし、どんな思いで行動しているのか、そういうのを知りたいという欲求があります。
いわゆる「情報収集」が好きなんです。加えて「まちづくり福井株式会社」にお世話になって、まちのにぎわいに寄与するには、この街に訪れる人たちが何を求めているのか、何が足りないのか、何に魅力を感じるかを知る必要がありました。
その感覚をさらに広げ、県外から来た人たちは何を思って福井に訪れてくれて、何を経験したくて福井に訪れてくれているのか。観光に少しでも携わる者として、一番欲しい生の情報がそこにあって、一番人と交わることのできる場所、それを考えたときの最適解が『OUR BREWING』なのです。

スタンディング
飲食店は他でもあるでしょう? とは言われますが、県外からの流動的な方が集まる場所、そして自分の領域、つまりエキマエ以外には選択肢はありませんでした。その中でも新しい場所として『ミニエ』が選択肢としてあり、かつ、入っている飲食店の中で唯一『OUR BREWING』だけがスタンディングであること、が最大の理由です。
スタンディングは基本的に回転率が高いので、一晩でいろんなお客さんと話をすることができます。スタンディングは仲間同士で話すだけでなく、見知らぬ隣同士の人とも会話がしやすいです。カウンター席は基本的にそうなりやすい環境でもありますし、スタンディングはそれをより助長している感覚があります。
上記のような環境を作るのが、自分の役割だと、タップルームでビールを提供する者としての役割だと認識しています。つまり、お客さんとお客さんをつなぐ役割というか。ビールを出すと同時にコミュニケーションを生み、コミュニティを作る役割です。

食事とお酒の違い
事実、『OUR BREWING』には多くの県外のお客さんが訪れます。国内はおろか国外もまた多いのです。これは『OUR BREWING』ならではと言っていいでしょう。何故か。ここにしかないものだから。
もちろん、ソースカツ丼におろしそば、冬なら越前がに、水ようかんなどなど山ほど「ここにしかないもの」はあります。それを目当てに多くの人が訪れるのも知っています。越前がになんかは国外からそれを目当てに来ているくらいですから。
ただ、食べ物とお酒はちょっと違う感覚です。食べ物は「食べる」行為が中心にあって、意識は食べ物に向かっていきます。しかしお酒は「飲む」以外に「語る」という意識が存在しています。

飲む=語る
今では死語に近い言葉になってきましたが「飲みニケーション」という言葉は、無礼講で言いたいことを言い合える、まさに「語る」場です。日本人は自分の言いたいことを言えず、思いを押し殺している傾向があり、それが組織の緩衝材的にもなっていましたが、いつしかなくなってしまって、やがて爆発するといろんな弊害をもたらします。
そういうことを踏まえて、「飲む」場というのは、ほぼイコールで「語る」場でもあったりすると思います。言いたいことがある、聞いてほしいことがある、語りたいものがある。お酒は、味の話ももちろんありますが、“コミュニケーションの潤滑油”という認識でいつもいます。
だから一人でお酒を飲むことは一切しませんし、家で飲むことも一切ありません。誰かと飲むからお酒は美味しい、そう思っています。なので「お酒は好きじゃありません」といつも言っていますが「大ウソつき!」と大体返されます(笑)。

クラフトビールの性格
特にクラフトビールだとそれが顕著に表われている感覚があります。IPAとかHazyとか、ヴァイツェンとか、ホップの種類とか(汗)。どこのイベントに行った、どこのクラフトビールを飲んできた、そういう話で盛り上がり、全国の醸造所みんなで盛り上げていこうという、他の業種にはない“横のつながり”が非常に強い印象です。
そうそう、それで、お客さんから言われたことも「なるほど」と思いました。クラフトビールに集う人って、相対的に「まちづくり」に興味のある人が多い、と。実際そのお客さんは全国のクラフトビールのお店に伺っているそうなのですが、その際、同じようにコミュニケーションを取っていると、そういうまちづくり系の話になることが多いと。
クラフトビールって“地元のビール”でもあるし、それはつまり自分の街を発信する意味合いにもなるし、事実そういう思いで作っている人が多いんだろうな、って思いました。結果的に地元を盛り上げたい、につながるわけですし、そういうコミュニティが生まれていくのかもしれないですね。なるほど、って。
そうなるとまんま“こちらの領域”になるわけで、必然的に自分はこのバイトを選んでいたのかと腹落ちしたわけです。働いていて楽しいのはそういうことなのかと、続けられているのはそういうことなのかと。ま、続けたい、と、続けさせてくれる、はまた違う話として。

アウトプットの場
でもって、まぁ聞きまくるわけです。しかし、それをただ知って、自分のものにするだけではありません。ちゃんと福井の人にアウトプットして伝え、知ってもらいたい、そして考えてもらいたい、ビジネスのアイデアにしてもらいたい、という欲求もあります。そういう欲求は、雑誌編集の前からずっとありました。
高校2年生のときに「福井のまちづくりをする」と決めて、それが勉強できる大学を選び、それが実践できる会社を選び、生きてきました。雑誌編集とは主に物書きの仕事。「福井のことを書いて福井の人に伝える」仕事をしたかったんです。
何故なら、「福井の人に福井を好きになってほしい」という思いがあったからです。その原点は、福井を好きじゃない、福井は何もない、という声が周りにたくさんあったから。何もないのではなく、何も知らないのだと。だから伝えたいのだと、そう思ったんです。
そうして25年が過ぎ、新幹線がやってきてからは「県外の人に福井を好きになってほしい」という思いも生まれました。じゃあどこで伝えるのか、ですが、このブログサイトは知っている人だけが知っているサイトで、他に伝える術はギャラリーと映画。アート分野のみでした。

好きになってもらいたい
だからこそ、「どこで伝えるか」の答えを出すために、まちあるきガイド講座の創設につながるわけですし、このバイトにもつながっていったのです。福井が好きで、福井を取材しまくって、福井を歩き回って、福井を愉しんで、そして伝える。それがいつしか外に滲み出していく。その流れを作っていくのが自分の役割だと、会社を辞めてより強く思い、生きています。
せっかく福井に来てくれて、観光地を巡ってくれて、今だったら越前がにを食べてくれて、最後にビールを飲みに来てくれた人に、「福井ってよかった」と言ってくれるようなそんな時間を過ごしてほしいじゃないですか。リアルに福井に来てくれた人が、「福井っていいね」、「福井って深いね」、「福井って面白いね」と言って帰ってくれたほうがいいじゃないですか。
だから伝えます。美味しいお店、行ったほうがいい場所、見たほうがいい景色、知ったほうがいい歴史や文化。25年の取材生活で得たものを、ここでアウトプットしています。と同時に、お客さんからもインプットします。それが楽しくてたまりません。
伝えたい人、話したい人、聞きたい人、その間にはお酒。福井におけるコミュニケーションが生まれる場所、それが『OUR BREWING』。そう思っています。
好きを仕事にする人生って素晴らしいですね。
何故、「月曜日の男」なのか?
宮田さんならそうだろうなと頷きつつ読ませていただきました。
これからも福井をよろしくお願いします。
私も陰ながら応援させていただきます。
いつも読んでくださりありがとうございます!
人生を自分のためだけでなく地域のために、と思って過ごしているので、自分のための最たるモノ=お金はほとんどありませんが(汗)