映画を作っています。

映画っていいですよね。映画館は行かないかもしれないけれど、家で映画を観る人は多いと思います。ちなみに福井県には映画スクリーンが31あります。お隣石川県は51、富山県も31あります。

 

 

問題はその中身です。

現代の映画館は入り口は一つで複数の小さなスクリーンが並ぶシネマコンプレックスというシステムが主流で、それは大企業が経営するスタイルです。もう一つは、地元の企業が経営する一般館というスタイル。福井でいうとエキマエに点在する映画館は、分類上、一般館に属しています。

 

さて、この一般館とシネマコンプレックスの比率、全国的には87%対12%。圧倒的にシネマコンプレックスが占めています。石川では51スクリーン中、一般館は2館、富山では一般館はゼロ、という状況です。翻って福井、31スクリーン中、一般館は10。比率でいえば33%、かなり稀有な街です。

 

そしてその全てがエキマエにあります。かつて映画館は街の風景の一つでした。街を彩るスポットの一つでした。しかしシネマコンプレックスは郊外型で、映画館は街の中から姿を消してしまったのです。

駅を降りたら映画館がある、その姿を、福井は今も残している、それが福井なのだと思います。人々の生活の中に映画がある。そのDNAを時代の流れだからと消し去るのは、とてももったいない気がします。

 

だから、その火を燃え盛る炎にしようと思いました。生活の中に映画をもっと取り入れよう、2015年に始まった「福井駅前短編映画祭」のスピンオフ企画として、映画を作ろうという流れは必然だったのかもしれません。

プロジェクト名は「ムービーハッカソン」。IT用語でハッカソンという造語があり、みんなで集まって、一つのプログラムを作り上げたり、バグを見つけたりと、とにかく短期集中的に行なう、ハッキングのハックと、マラソンを組み合わせた言葉でした。それにさらにムービーを加えた、造語の造語でした。

「3日間で映画を撮る」。

それがこのプロジェクトのコンセプトでした。

 

ですが、本当に映画を撮ってみよう、という人は現れるのだろうか、と不安もありました。結果、それほど多くの呼びかけもなかったのに小学生から障害を持った方まで50名もの方が集まったのです。こちらも手探りの状態でした。どういう流れが出来ていくのか、未知数の中でスタートしました。色々とありましたが、福井を舞台にした映画が、福井の人で作る映画が、3本生まれました。

 

翌年はどうしようか考えに考え、2本に絞り、映画祭に出品し、賞を獲る作品にしようと思いました。そのために福井市の協力を得て、ふるさと納税の対象にしてもらい、初年度に引き続き福井県の産業支援センターの多大なる協力で機材を借りることができ、多くの企業の皆様、個人の皆様の支援をいただき、作品は完成しました。

 

さぁ、3年目はどうするか。より福井の人が関わる映画作りにしよう、そう考えました。これまでは東京から監督が来ていましたが、福井の人に監督をお願いしてみよう、脚本の原案や、脚本自体も福井の人が書いてみよう、どんなことが起きるのか、これもまた未知数でした。

 

ほぼ同じ脚本は、監督が変わるだけでこれほど変わっていく、ということを楽しむことができました。ちなみに、両監督とも当日に監督に指名された二人です。福井出身の俳優、片山享くんのサポートの下、堂々と監督を務めました。二日間の予定でしたが、初日で撮り終えてしまったので、2日目は本当に即興で脚本を書いて、脚本募集の作品を作りました。

 

この出たとこ勝負、即興劇的な映画制作が、ムービーハッカソンの本質かも、そう思わせてくれました。

 

さらに脚本ワークショップも開催しました。現役の脚本家であり、現役女子大生でもある、小鶴乃哩子さんに教授してもらいました。映画に興味のある人たちが集まることで何かが生まれます。このワークショップで生まれた脚本も、もしかしたら映像化するかもしれません。

 

少しずつ、一歩ずつ。急いては事を仕損じる。急激な認知は、急激な人口流入をもたらしますが、その角度が高ければ、落ちるのも早いです。落ちる理由は、純粋に地元の準備不足に尽きます。形だけの認知ほど怖いものはありません。

金沢が新幹線開業から数年が経っても人気なのは、粛々と、着々と準備をして来たからに他なりません。そういった準備は、福井はまだ足りません。だから少しずつ、一歩ずつ。土壌作りからが必要だと思っています。その土壌が、金沢よりも優れているのが、映画文化です。

だから、映画を作ります。でもそのための資金も必要です。そこでクラウドファンドを立ち上げました。

https://camp-fire.jp/projects/view/84564

 

純粋に福井を映画を通じて楽しもう、それだけで立ち上げています。この想いに賛同いただける方を探しています。もちろん、役者をやりたい、カメラを回したい、そういう人たちも大歓迎です。一緒に映画でまちづくりをしませんか?

 

 

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