朝から福井を満喫するホテル
『リバージュアケボノ』さんに泊まると、朝起きるのが楽しみになります。いや本当に。だって朝風呂入って朝食バイキングですから。気持ちいいですよー。福井県民でも泊まりたいホテルの一つです。
この朝食ってのがまたいいんです。福井の味を超満喫できるんです。たくあんの煮たのとか、すことか、厚揚げとか、麩のからし和えとか、へしことか、里芋とか、打豆とか、笹かれいとか。朝でもソースカツまでありますから。バイキングなので食べ放題。…まぁ、そんなにたくさん食べられない年齢ではあるんですが、朝食バイキングってだけでワクワクします。コロナでバイキング系は結構駆逐されてしまったのですが、しっかり対策をすればできる、というのを教えてくれています。
学ぶことの大切さを教えてくれる
さて、腹ごしらえも終わったので今日もてくてく。浜町の観光スポットとして挙げられるのが「グリフィス館」です。言ってみれば超マイナーです笑 これは日下部太郎という人物の歴史から完成した資料館。ちなみに日下部太郎とは、松平春嶽公とか橋本左内とか由利公正とか、幕末の志士ってわけではなく、橋本左内よりも10歳ほど年下で、日本でも留学生の先駆けのような人でした。いわゆる超秀才です。漢文もスラスラ読めて英語もペラペラ。学びたい欲求はとどまることを知らず、アメリカへの留学とつながるのです。ニュージャージー州のラトガース大学で学び、主席街道を驀進します。英語圏で日本人が主席ってんだから、相当頭いい人だったはず。
当時同大学生でありながら教師も務めて日下部太郎を教えていたのがウィリアム・エリオット・グリフィス。二人は親交を深めるのですが、卒業間近、日下部太郎は結核で亡くなってしまうんです。そこからです。グリフィスは日本で教鞭を取るわけです。もちろん訪れたのは福井。約1年の間でしたが、日下部太郎の思い出も含めて相当な思い入れがあったと思います。そのときに福井藩が作ったのが「異人館」。いわゆるグリフィス館なのです。場所は浜町の中にはあったのですが違う場所に建てられており、当時の異人館の作りをほぼ踏襲して作ったのがこのグリフィス館。この資料館が伝えたいのは、「学ぶことを止めてはいけない」ということかな。学びたい気持ちを持ち続けることで、きっと光が差すことを教えてくれるのだと思います。
かつての福井の営みを知る
せっかくここまで歩いたので、ちょっと寄り道をば。浜町より東側の堤防沿いにパネルがあるんです。12枚、昔の福井の歳時記的に毎月の行事が描かれています。これは福井に住んでいる人も知ってる人少ないかもしれません。一つひとつが福井の歴史。ちょっとした観光スポット、って思います。駐車場とかはないので是非歩いてください笑
残すべき愛すべき商店街
さて、2日目の「ふくいを旅ろう」、見せ場はここからです。エキマエに戻ってディープスポットに向かいます。超ホームグラウンド「新栄商店街」。自分の人生の5分の1はここに捧げているといっても過言ではありません。これからも増えていくであろうこの場所は、いわゆる福井の近現代の象徴でもあります。
自分が初めてこの商店街に関わったのは、「きちづくり福井」という団体でした。雑誌を作っていてずっと感じていたのは、どこか遠くから見ている感覚で。現場を知らずしてまちづくりは語れるのだろうかと、楽しそうな、何かを街に対して起こしているようなところに顔を出そうと、今から10年以上前に参加しました。
そこからいろんな人と出会い、お店を開き、新栄を発信し続けてきました。お店を開いた9年前、エキマエのど真ん中にありながらも誰も知らない場所になっていたんです。本当に。「新栄ってどこ?」ってのは当たり前だったし、「なんでこんなところに?」とか「駐車場ないから無理だよ」とか言われ続け、でも9年やってきている今、シャッター街で誰からも忘れ去られた存在は、見違えるように人が歩くようになりました。
戦後、市場や裁判所もあったという場所は、住居兼商店として一つの商店街を作っていきます。当時は人がすれ違うのも大変なくらいにぎわっていたそうです。だから商店街の人たちは自分たちでアーケードを作り、街を整備して、一つのテリトリーを作っていきました。
しかしモータリゼーションで郊外化が進み、一気にエキマエは寂れていきます。平成時代には商店街も形骸化して、あとは朽ちるのを待つだけのような、そんな場所でした。ただ、時代が巡ると価値観も変わります。「この昭和感がいいのよ」と、人が集まるようになっていきます。きっと商店街としては全国でも珍しい、店舗の純増を果たしています。全国からも視察に来るような、そんな商店街に変わりました。今も空き店舗を探しに来る人が多いです。
人に会いに来る商店街
この商店街はもちろん個性的なお店が多いのですが、人に会いに来る商店街でもある気がします。人の顔が見える、というか。なので、人に会いに来てください。お店の人と語り、お店のサービスを知り、この街を好きになってほしいと思います。
チーズ専門店『HAPPY CHEESE』の高橋和子さん。10年前からチーズにドハマりして、チーズプロフェッショナルという資格も持ち、お店を開きました。どれもグラム単位で売ってくれるので、食べきりできるのがいいですね。ちなみに好きな組み合わせなのが瓜の漬物とコンテチーズなのだとか。
3月にオープンしたばかりのスペシャルティコーヒー専門店『NIVI』の朝倉裕晶さん。以前は大手流通会社に勤めていましたが、コーヒーに魅せられ、所作もふくめて「新しい美しいコーヒー」を提供しています。
新栄ができたころからずっと営業している中華料理『福林軒』の、2代目林正明さん。昔洋菓子店で働いていたこともある異色の経歴の持ち主。自家製麺は昔からで、チャーシューを作るときの匂いがたまらなくいいです。それをスープの出汁にもしているそうです。
日本海側唯一のボクサーパンツ専門店『ラーナニーニャ』の宮田由紀恵さん。いわゆる自分の妻です笑 パンダが好き過ぎて、結婚3年目のときにパンダを見るためだけの単独世界一周を2カ月かけて敢行しています。オリジナルのボクサーパンツ「iLachica」の名付け親です。
皮専門店『銭屋』の山本健一さん。車のディーラーのバリバリ営業マンでしたが、一念発起してオリジナル皮製品の製作してます。皮製品好きな人がよく集まります。趣味の写真はプロ級の腕前です。
リラクゼーションルーム『canade』の半田保則さん。こちらは毎日ひっきりなしにお客さんが訪れています。新栄のゴッドハンドです。昔すんごい太っていたんですがある時期から一気に痩せる決心をしてゴッドハンドになりました。
自衛隊用品専門店&オーディオショップ『驗屋(あかしや)』の白崎輝夫さん。自衛隊の方も買いに訪れるリアル自衛隊用品店で、白崎さんもリアルに元自衛官です。自衛隊の話がまた面白いんですが、音楽もかなり凝っている方で、レコードや音響機器を扱っています。いつも白崎さんのギターの音色が響いています。
スノーピーク買い取り専門店『canvas』の中上久範さん。スノーピークが好き過ぎて買い取り専門店まで作っちゃった人。お店の前にある人工芝の休憩所「新栄テラス」を運営する「新栄リビング」の代表でもあり、中央公園の広場の管理団体も手伝っています。
問答無用、新栄の台所『かくれわ食堂』の竹内博恵さん。このお店ほど「人に会いに来るお店」はないと思います。お昼を食べるのも、夜飲みに行くのも、ほぼここです。最近はランチも予約しないと入れないくらいの人気店。彼女も自分と同じように新栄を守りたい想いが強い“同志”のような存在です。
福井で唯一の立ち飲み店『ますや』の菅原修斗さん。『かくれわ食堂』の2号店です。福井で立ち飲み文化を作っているといっても過言ではありません。親はサッカーをやってほしかったそうですが、2歳から20歳までピアノ三昧でした。得意な曲は「スーパーマリオ」笑
そして、福井出身の美術家・MAGOの専属ギャラリー『MAGO GALLERY FUKUI』。オーナー、自分です笑 MAGOは本当に無名の頃から応援し続けている子で、その詳細はブログでも書いた通りです。「サスティナブルキャピタリズム」を提唱し、アート作品は年を追うごとに人気になっています。ギャラリーをやっていて思うのは、絵は買うものではなく資産として持つものだということ。紙幣はいろんなものに交換できる資産で、絵は交換不可能な資産です。しかしこの絵は間違いなく価値が上がっていくものであって、値が上がる前の今のうちに福井の人に持っていてほしいな、と思っています。そしてその絵を眺めて環境保全を含めたSDGsに意識を持ってほしいな、と思っています。MAGOが生まれた場所だから、福井がSDGsの最先端の街になってもらいたいな、と思っています。それがこの街を良くしていくんだな、と信じています。
福井文化の最後の砦の商店街
まだまだ新栄商店街にはいろんな個性的なお店があります。古着屋さんや猫カフェ、カナダ人の英会話教室にインドネシア人のインドネシア料理店などなど、国際色豊かでもあります。今後、旅は“見る”から“人に会う”が主流になると思います。そんな個性的なお店が昭和なレトロ感漂う場所に揃うから、新栄商店街は楽しいんだと思います。今、エキマエは再開発真っただ中。新しいエリアと旧いエリアが混在しているから、街は魅力的に映るんです。新しくなり続ける中、いうなればここは福井の魅力を発信する最後の砦とも言えます。是非人に会いに来る旅を満喫してください。福井駅から徒歩3分、めっちゃ近いです。
<おまけ>昭和レトロに集う人々
もう一つ、新栄商店街ではないんですが、すぐ近くに面白い店ができています。『こうみんかん』というスナックです。その名の通り、公務員と民間の若い人たちが集う場所で、この昭和レトロ感がたまらなくいいんです。週末くらいにしか空いていないんですが、とにかく熱い子たちが集います。熱すぎていろんなものが生まれる予感しかありません。次の福井を作っていく子たちがここには揃っています。なんとも頼もしく、おぢさんはペヤングソース焼きそばを食べるだけで満足です。
だーいし
笑ってしまうくらいディープな地元紹介、おもろいです!