駅前とエキマエ
今回の「福井を旅ろう」、福井の中心地・エキマエと浜町という、「ホントに旅なん、それ?」と思われるかもしれないエリアを巡ってみました。
福井市に住んでいればそりゃ生活のエリアでもあるんですけど、県外の人からみれば、エキマエだって立派な観光地。これから来る新幹線の駅降りたその場所だから、知ってもらいたいという思いも、福井市に住んでいて思います。
ちなみに。ここで「エキマエ」って書くのは理由があります。これは地方あるあるだとは思うのですが、「駅前」って駅を挟んで栄えてる方を指すよね。それに対して栄えてない方を「駅裏」って…、いいません??
以前、天皇陛下が福井にお越しになったタイミングで「駅裏」がキレイになったんです。そのときから「駅前」を西口、「駅裏」を東口と言うように、ってお達しが出たわけですよ。
だからっつって、これまでの呼び方を簡単に捨てられるものでもなく、時間はかかっても西口、って言葉は少しずつ浸透してるんですが、まだ「駅前」のイメージは強いんです。もはや方向というよりも、エリア的なイメージでこの言葉を皆さん使っている感じです。だから、漢字だとイメージが強くなるので、カタカナにして音の響きでエリア感を。なので「エキマエ」って書いてます。
テレビドラマの『チアダン』でも出てきましたし、なんやかんやメディアでも出てくる、駅の真ん前にある恐竜。今や越前がにと並んで福井をイメージするビジュアルになりました。恐竜という、一点突破のブランディングが成功した感じだと思います。ただ、以前和歌山県に行って現地の方と話をしたとき、恐竜よりもメガネのイメージが強かったのを覚えています。メガネはやっぱり強い!
そして今回も、日本旅行ワールドさんプレゼンツでお送りします。やっとHPも完成して、このブログもHP内でリンクしています。県内旅行をする際は是非問い合わせてみてくださいね!
ホントにビックリするから!
さて、お昼の時間なのでいきつけのお店『石田屋』さんに。こちらは居酒屋なんですが、ランチもやっていて、これがまたボリューミーで700円という、破格のコスパな穴場。今では顔見ただけで「あるよ」と言われてしまうくらい、何も注文しなくても出てくるようになった、ビックリチキンカツ定食。初めて食べたとき、本気でビックリしたのを覚えています。そこからは完全にリピート。このね、カリカリ感がいいんですよ。もちろん中心部はチキンがガツンと来ます。ちなみに数量限定なのでお早めに。
夜もビックリチキンカツはあります。それ以上にこちらの名物は別にあるんです。「福井御田」。一年中あります。なんだと思います? おでんです。まぁ、凝ってます。県外から来たら見たことない具材もあります。夏でも食べられます。おでんって、冬のメニューだから、夏に無性に食べたくなるときってあるじゃないですか。そんなときオススメです。
最近はビックリチキンカツも気合い入れて食べなきゃって年になったし、ちょっと 腹ごなしにてくてく歩きます。
中よりも外側を知ってほしい
福井は、駅のすぐ近くに城跡があるんです。駅から徒歩圏内に城跡がある場所って、意外と少ないみたいです。そしてその中にででーんと構えてるのが、県庁と県警本部という治世の中枢。これもまた面白いんですよね。お堀の中に県庁がある県って2つか3つあるらしいんです。なんか、江戸時代からの名残というか…。
それでも、自分は物心付いたときからそこにあるので違和感はないんです。そういうもんなんだ、ってくらいで。でも、他から見たら「変だよねぇ」ってなるんでしょうねぇ。今じゃ珍百景っつーことでいいんじゃないでしょうか笑
それよりも、石垣の方をちゃんと見て欲しいかな、って思います。この石垣の石は「笏谷石(しゃくだにいし)」という、福井でしか産出されない石で作られているんです。確か、弘法大師だったか継体天皇だったかな、笏で差したら水が出たか何かやったという伝説があって、こういう名前になった、って記憶してるんですけど、かなり前に聞いた話だから曖昧になってる…。
もうね、笏谷石ネタだけでも情報あるんすよ笑 だけどここはちょっとだけ。今見えるお堀は内堀であって、外堀はもっとでかかったんです。それこそ福井駅から繁華街の片町まで全部お城だったんです。その石垣、全部笏谷石だったそうなんです。現在の大きさだけでも、単一の石で出来ている石垣って、日本で一番大きいそうです。どんだけ採掘したねん、ってくらい、一つの山が全部笏谷石でできてまして、採掘場跡も見せてもらいましたが、感動すら覚えました。映画のセットか、と思うくらいの場所。落盤の危険性があるので立ち入り禁止なんですが、これ安全だったら相当な観光スポットになるよなぁ、って思います。
で、ここに福井県の名前の由来になったものも存在しています。「福の井」と呼ばれる井戸。昔の図面は「の」がないから福井、って書かれているんです。中を覗くと水ありました。飲めないとは思うけど…。県庁と県警本部があるからお堀の中に入るのに躊躇するかもしれないですが、普通に見て回れますから、どんどん見に来てください。桜のシーズンはお花見客でわんさかですから。
もうひとつ、石垣を見ていて面白いものがあります。「サイン」があるんですよ。昔の石工が自分の仕事を知らしめるためだったのか、そういうルールだったのか、わかりませんが、石垣をずーっと見てると「サイン」が掘られているのを見かけます。なんだろ、昔の人の営みが見えるから面白いですよね。是非探してみてください。
養浩館は俺の庭
お城を抜けて北にてくてく歩いていくと、お殿様の別邸があります。昔、世界の美しい庭でベスト10に入ったり、国内でも上位に来ている「養浩館庭園」。自分の友達にいるんです「養浩館は俺の庭」って言う子が笑 庭園の手入れをしてた会社の子だったので、確かに、って、仕事をイメージしやすいフレーズで、仕事を紹介しやすいです。
大きい池を周遊するようにできていますが、かつて幕末の頃は、ここは武器製造工場だったそうです。そのときの監督さんが三岡八郎、後の由利公正でした。そこから福井藩の中で重要な役職を担い、坂本龍馬とたくさん話し、ヘッドハンティングまでされた人でした。明治政府が発した「五箇条の御誓文」の基礎となる「議事之体大意」を作った人で、後に初代東京府知事になって、銀座を作った人なんです。そう考えると福井って、幕末から明治にかけて、えらい影響を与えていた場所なんだよなぁ。縁の下の力持ちというか。表には出ないけど相当力を持ってました。「福井市立郷土歴史博物館」が隣接してるので、さらに詳しい情報見れますよ。
かつての街道に人の集う場所あり
まだ腹ごなしが出来てないので、さらにてくてく歩いて、今度は呉服町商店街に。かつての北国街道の一部で、呉服屋さんが軒を連ねていたことから呉服町商店街って言われています。そしてここには福井の感度の高い人たちが集まる場所があります。『flat kitchen』はオーナー・藤原皓彦さんの人柄がにじみ出る、居心地の良い場所。京都の老舗で修業を積んだ腕が、一皿の随所に表れています。福井を楽しむ人たちとつながりたいとき、ちょっと顔を覗かせてみては?
駅から養浩館、そして呉服町商店街を経て浜町って、この距離福井の人なら間違いなく車使うな…笑 でも今回は全部徒歩。歩いてみて感じるのは、意外と歩ける、ということ。歩くと見えてくるいろんなものがあります。この辺りはこんなお店が多いんだ、とか、ここはどんな会社なんだろう、とか、こういう風景が歩いてると見えるんだ、とか、歩かないと見えないものがありますから、お休みのときや、運動不足と感じたときは、いつも車で通る道を歩いてみてください。その後のごはんがきっと美味しくなりますから。で、食べすぎてまた太るんですよね笑
県民も知っている「美味しいホテル」
で、今回宿泊するのは、福井の花街文化が残る浜町にある『リバージュアケボノ』さん。足羽川のふもとにあって、春になると部屋から堤防と足羽山の桜が一望できる最高のスポットです。お風呂も最上階にあるのでまたもや桜を一望でき、さらに繁華街・片町とは目と鼻の先。何よりも食事が好評なんです。
ホテルのお食事処って、朝ごはんを食べるようなくらいのイメージじゃないですか。『リバージュアケボノ』さんは違うんです。夜も朝もかなり力入れています。「食事がおいしいホテル」というイメージを、福井の人は持っています。泊まりはしないけれど、朝ごはんが美味しいってのは知っているんです。それくらいのブランディングがされているホテル。さらに夜も力入れているから、より食事が美味しいイメージが上がっています。
夜はめっちゃフレンチです。最高のフルコースです。地元の食材もそうですけど、旬の食材を全国から集めて、素材の味を引き出しています。料理長の松塚さんは、昔取材したことあるんですが、そのときも全国の料理大会で優勝したから取材していたので、そのレベルは推して知るべし、ですよ。夜のコースは宿泊でなくてもいただけるので、一度足を運んでみては?
花街文化を残す大人の嗜み
そしてこの旅で是非紹介したかったのが、『浜町日々』さん。花街文化を今に伝え、新しい芸妓文化を発信しているお店です。舞台もあるのでお客さんが芸を観たり、お座敷遊びの体験をしてみたりと、大人な空気をまとう場所。でもって時間無制限で飲み放題9900円と、超明朗会計。そう聞くとガバガバ飲めるやん、って思うでしょ。こちらに訪れるお客さんはそんな飲み方しません笑 上品に飲みます。敷居が高い、ってわけではないですが、まぁ福井でも上の方々がよくおみえになる場所ですし、大人な振る舞いを学べます。こういう場所が似合う大人にならないと、もっと落ち着いた大人にならないと、って、こちらにお邪魔するたびつくづく思います。
お座敷の芸をこういう風にしてるのって、きっとここだけだと思います。密を避けなきゃいけなくて、ママの今村百子さんが考え抜いて生み出したのが、一人で何役も同時にこなす芸。その情熱に感服です。これができたのも、福井にある『日華化学』さんが作った「ディアルミエ」という透過性スクリーンがあったからこそ。
さらに北陸新幹線開業に向けてオリジナルの福井の舞も作っています。こちらに来られる方は出張の方が多いので、この舞で福井を知ってもらえれば、という思いが込められています。そうした一人ひとりの取り組みが、結果福井を認知してくれるきっかけになるんですよね。いやーいいもの見せてもらいました。話し込んでいたらいつの間にか夜中の1時…。