3日間の全集中

初秋は映画つくり

毎度毎度のことですが、9月の3連休はずっと、「ふくいムービーハッカソン」という市民参加型の映画撮影プロジェクトを行なっています。2016年からスタートして、いつしか9年目を迎えました。

  

この話は何度もしていますが、そもそもこうした映画撮影プロジェクトをするきっかけとなったのは、今や日本の名バイプレーヤーでもある俳優の津田寛治さんの一言でした。「みんなでヨーイドンで映画撮影して上映できたらいいよね」。その想いを形にしたい、でも誰も彼も映画を撮ったことがない、ならばみんなで作ろうやないか、と、始まったのが「ふくいムービーハッカソン」です。

  

そんなこんなで作り続け、いつの間にか9年目。途中コロナでハッカソンではなく、長編映画『いっちょらい』を作りましたが、この映画もまた、福井の人たちがかなりたくさん出演していて、ある意味ハッカソンの流れっぽい現場でもありました。

  

このプロジェクトでこれまで撮った作品は、数えてみたら30本ありました。えらい撮ってるな(汗)それ以外でも長編映画に3本関わっていたり、なんやかんやと福井で映画を作り続けています。

といいつつも、自分は監督でも役者でも制作でもありません。プロデューサーという役割を担い、集まってくれる人、そして制作に必要な経費を集めたりしています(まあ自腹も多いですが…)。あとは監督がロケ地に選びたい場所を提案しています。通常丸一日かかりそうなところも3時間で終わらせてしまえるのも、これまで『月刊ウララ』を作ってきて、いろんな人たちと繋がってきたことの結果なんだろうと思っています。

 

今、Youtubeで観ることができる作品はこちら

 

プロデューサーっては言ってますが、ただそうなっただけで、わかりやすい肩書ってだけです。とにかく“福井で映画を作る場、を作る”ってことをやってきました。市民参加型にしているのも、ものづくりのDNAが受け継がれてる福井県民だからできるとも思ったし、映画文化って意外と福井では根付いているし、まちづくりの一環になるとも思っているし。

  

てなことで、今年は昨年の「福井駅前短編映画祭」で福井駅前賞を受賞した福田茜さんと、共同脚本を書いた福井在住の松原ゆうさんを招聘して、あとはすべて福井県民(一人は東京から来てくれた)でスタートしました。初日は13時からスタートなんですが、今年は違って、朝6時スタート!

 

雨が降らないのはいいんですが(2日目は降られた…)、暑い! とにかく暑い! 日陰で撮影していても暑い! 朝7時だってのに暑い! もうね、残暑ってもんじゃない、真夏が続いてる感じです。飲み物のペットボトルが山のように積み上がっていきました。

  

とにかく、今年も参加した全員が「映画を作るぞ!」と思い、映画制作に前向きに取り組んでいました。制作の現場で自分ができることは、みんなが熱中症とか空腹とか喉がカラカラにならないよう、かつ、周りで「何してんの?」的な目で見に来る人たちに一つひとつ説明して回ることです。

 

でも、見に来た人たちの多くはやっぱり、ワクワクするような感じで見ていったのを覚えています。誰一人、眉間にしわを寄せて詰め寄ってくる人はいなかったです。何故かというと、映画制作という“非日常”が、みなさんにとっての“日常”の場所で行なわれているからだと思います。この流れが、やがて目標とする「全国ロードショーの映画ロケ地を福井で」につながって行くのです。

 

映像の仕事をしている人たちも福井にはいて、でも映画を撮ってみたかったという人も多くて、「なら一緒にやろうよ」と、半ば強引に(笑)誘って、この3日間を共に過ごしていきます。今年の作品は香盤表(こうばんひょう、いわゆるスケジュール表のこと)を見て、夜中の3時までってのもあって、まぁいつものことでしょう、と笑い飛ばしていました。

 

これが2日目の朝5時の撮影。てかもう3日目やないか…

  

でもね、皆さんテンション上がりまくり(笑)。「やったろうやないか!」的なノリになって、はじめましての人たちなのにどんどん盛り上がって行って。これなんだよなー、ものづくりの魅力って。みんな「いい映画を撮ろうぜ!」と同じベクトルに向かって進んでいるので、こうなるんです。決して自分が鼓舞してはいません。現場の人たちで盛り上がっていくんです。

 

これまでに組織論を話すこともあったんですが、その際に伝えているのは『島耕作』と『ワンピース』の違いだということです。『島耕作』は何のつてもないプロパーの新入社員が課長、部長、取締役、常務、専務、社長、会長、相談役と駆け上がっていく、サラリーマンの極み的なサクセスストーリーです。翻って『ワンピース』は「海賊王に、おれはなる!」の一言だけで、周りを頼りながら、それぞれのメンバーがそれぞれのスキルを使ってサポートして、その旗の下に集まり、その旗の向く方向へみんなで進んでいく、というスタイルです。

 

これは△と□の違いだ、とよく言っています。『島耕作』は典型的なヒエラルキー社会、『ワンピース』は四角い組織で真ん中にルフィがいて、同列で仲間たちがいる、という社会。どっちが正しい、どっちが間違いという二項対立な話をしているのではなく、それぞれの組織において合うスタイルでいいとは思うんですが、自分が考えるこれからの社会の組織って、□のほう、つまり『ワンピース』のほうなんじゃないかな、って思っています。事実、マンガの中でもいつも対決しているのは△のヒエラルキー社会のトップで、その下層にいる人たちを救う、ってことで続いています。そしてそのマンガが日本だけでなく世界を席巻しているわけで、世界はそこを求めているんじゃないのかな、っても思います。

 

そういう意味で、ムービーハッカソンは□で動く組織になっているなぁ、とつくづく思います。それは以前のブログでも書きましたが、そういう方が自分にとっては性に合っているというか、居心地がいいというか。はじめてだからできなくてもいい、それを誰かが教えればいい、それぞれの知識を分け合いながら前に進めばいい、そんな思いです。

  

3日目ともなると、どこかさみしさが周りを包み始めます。「もう終わってしまうのか…」と。3日間の連休の翌日はみんな仕事です。全員がプロではなく、仕事や学業を持って参加してくれています。楽しい時間はあっという間。睡眠時間がなかろうが、濃い3日間を過ぎれば“日常”が訪れます。だから参加した人の多くは「ハッカソンロス」という現象に陥ります。またあの3日間を過ごしたいと、楽じゃないけど楽しい3日間を経験したいと、来年へと続くのです。

 

来年も、もちろんあります。来年は

2025年9月13日~15日

です。この、みんなで駆け抜けた3日間の作品は、11月30日にテアトルサンクにて開催される「福井駅前短編映画祭」にて流れます。是非みんなで作り上げた作品を観に来てください。そして来年一緒に参加してくれる人も、今のうちにスケジュール表を埋めておいてください(笑)

 

来年は2本、監督脚本は共に福井の人です。そのうちの一人は初監督挑戦です。誰だって何をするにも経験していなかったらみんな初めてのことです。やってみなければわからないじゃないですか。まずやってみる、そして考えればいいんです。来年も楽しみです。

 

3日間、おつかれさまでした! ありがとうございました!

2件のコメント

  1. 山村はるみ

    福井駅前でこんな素敵な映画撮ってたなんて
    知らなかった😆
    観に行こっと😄💓
    来年も楽しみワクワク😀「恐竜ガォ!アロマ
    」のはるみで〜❤️

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