沖縄の渋すぎる町にダイブ
13年ぶりに降り立った沖縄。沖縄というと、ほとんどが観光での訪問だと思いますが、今回もまた、仕事です。大得意で大好きな、人物の取材です。
空港から街までのモノレールに揺られていくと、見えてくる那覇の街並み。なんだか違うんだよな、と思ってたんですが、マンションの作り方が違うんだと思いました。
元々はコンクリートの家が圧倒的に多かったそうです。木造はむしろ数パーセントだったようです。だって台風とか多いじゃないですか。でも、住宅メーカーがやって来て、いつの間にか40パーセントくらいまでなったとか。沖縄の方からみると、“キムタク効果”の凄まじさを感じてるそうです(^^;
で、ちょっと今回は調べました。観光ではないにせよ、ごはんは食べますから、「どこでごはんを食べるか」にフォーカスを当てて、徒歩圏内でどこに行くかを考えました。那覇市中心部から行けるとこで、観光してないところで、沖縄らしいところ。
一つありました(о´∀`о) 「栄町市場」という、超マニアックな場所笑 まあまあ観光客はいません。地元の人たちが仕事帰りにちょい飲みするような場所。昼から地元の人たちがたむろって管巻いてる場所。裏路地の裏路地、モノレール安里駅のすぐ近くですが、渋すぎるこの界隈は発見した瞬間「ここに必ず行く!」と決めた場所です。
昭和時代に市場があったのでしょう。その近辺の食堂街や問屋街だったと思われますが、今や市場もなく、その頃から取り残されたように町があり、細い路地が入り組んで、新栄商店街がかわいく見えるくらい、迷路です。
好きな人は確実にいる
普通は誰も見向きもしないで終わっていたかもしれません。でも、こういうところを好む人は確実にいるんです。ノスタルジーを感じる人は確実にいるんです。僕もその一人です。そういう人たちが集まるから、こういう町は再び光を放つんです。
福井のエキマエの新栄商店街もそうです。あの雰囲気が好きでみんな集まって、お店を開くんです。最近は立ち飲みの『ますや』も出来て、より下町感覚が映えてきました。新栄に出店希望の人も格段に増えました。でもいろんなことで貸してくれないという現実もあります。
ただですね、単純に「貸してくれない」というのは至極まっとうなのかもしれません。貸す側にしてみれば、ある程度知ってる人に貸したいと思うのは情。じゃあ知ってる、というところまで行くには、最近この街で顔をよく見かける、というところに到達します。あの人知ってるわー、ってなるくらいのコミュニケーションが事前にあるといいね、って、今後お店を開くにあたり、そんなことを感じました。
オモイデハ、ヒト
決してきれいな町ではありません。小汚ないです。でも、温かいんです。何がそうさせるか。人です。人は人に魅力を感じるんです。目の前でごはんを作ってもらい、目の前でお酒を作ってもらい、その時々にコミュニケーションが生まれるんです。それが人の記憶に植え付けられるんです。
これ、去年の話ですが、新栄テラスでビアパークをしていたときのことです。あるお客さんが一人で訪れました。明らかに県外の方だな、と思い、話しかけたら岩手から仕事で来られていました。奥様も一緒に付いてこられたそうで、わざわざ浴衣を持参して着て来られました。ある程度時間が経った後、「どこかお手頃にワインが飲めるところありますか」と聞かれたので、近くにある『粟樹楼』を紹介し、お店までお連れしました。そうしたら「一緒に飲みませんか?」となり、ビアパークそっちのけでそのまま飲んだくれてしまいまして…。
翌年、そのご夫婦に会いに岩手まで伺いました。実はあの後、金沢に2泊されてから岩手に帰ったそうですが、「あの中で記憶にあるのは福井の時間だけ」とおっしゃってくださいまして。金沢は観光地を回ったらしく、福井は観光地を回っていません。つまり、ACジャパンのCMよろしく「オモイデハフクイノヒトー」だったのです。福井の人たちとのコミュニケーション、それが旅の記憶に、街のイメージになっていったのです。「とても良かったし、定年になったら本気で移住したい」と言ってくださったあたり、本当に楽しかったんだろうなー、とその一言いただけただけでも岩手に伺った甲斐がありました。
せんべろな町に“沸く”
戻って栄町市場。ビールの空きケースの上にベニヤといった簡易な机。それが角を曲がった路地のそこかしこにみられるんです。それが、哀愁と郷愁と羨望がごちゃ混ぜになって自分に押し寄せて来ました。“沸いてきた”って感じです(о´∀`о) ワクワクしながら路地を行ったり来たり。どこに入ろうかと迷っていると、手書きで「せんべろ」の文字。
この文字、国際通りなどでも見かけたのですが、沖縄は「せんべろ」オンパレードなんです。ちなみにせんべろとは、「1000円でベロベロに酔う」という言葉の略で、やっすく飲めますよー、という意味です。入ったお店でも「飲み物3杯とおつまみ一品か、飲み物4杯」で1000円なんです。鬼安です(о´∀`о) でも、それが当たり前なのが栄町市場なんです。まずはと3杯+1品でアイドリング。
せっかくだからと2軒目は沖縄料理が食べられる場所へ。泡盛の炭酸割りを注文すると「飲み放題にします?」と。なんと、30分500円というこれまた鬼安設定(°Д°) おかげで沖縄料理をお安く堪能できました。ジーマーミ豆腐、島らっきょう、豆腐チャンプルー、もずくづけ、島豆腐の厚揚げ。特に厚揚げは揚げたてで、カリカリのふわふわなのがとても美味しかったです。
明日も早いし、帰りますかと国際通りを歩いていたら、また路地の奥に“沸いた”場所が(^^; 最近出来たらしい屋台村に吸い込まれてしまいました…。ところどころで見かけた「沖縄おでん」なるものがとても気になっていたので、それを食そうと。島豆腐の厚揚げ、もずくおでん、アーサ?入りの玉子焼き、ポチギ?ポテギ? まあ辛いソーセージです。あとは石垣島の老舗かまぼこに、沖縄野菜の漬物。これがまた…。ゴーヤの漬物、大根をシークヮーサーで漬けたもの、おくら。こりゃ絶品だ(°Д°) 驚くほど美味しい漬物でした。
目覚ましより早起きなら
で、ですね、ダイエット中ということで炭水化物を摂取してないのでしたが、どうしても悪魔が囁いて炭水化物を食べたくなる…。ただ明日は5時30分起き。ムリムリ、もう寝よう。24時間営業の食堂を見つけてあるから、もし目覚ましよりも早く起きたら、散歩がてら行ってみよう、と、ベッドへ。
はっ、と目が覚め、まだ目覚まし時計が鳴る前だ、と、時計を見たら1時30分…。いくら早起きいうても1時間30分睡眠はないやろ…。と、2度寝…。
はっ、と目が覚め、まだ目覚まし時計が鳴る前だ、と、時計を見たら3時50分…。2時間30分寝たし、起きるか、と、随分な夜明け前に散歩に出掛けたわけです。
実は少し気になっていたメニューがありました。「ちゃんぽん」。普通は長崎ちゃんぽんをイメージするでしょ? さすが沖縄、それではないんですよ。
リサーチ済みの24時間営業食堂は若い子達が締めの飲み会として利用しており、底知れぬグダグダ感が漂ってるんですが、チェーン店ではない、地元のおばちゃん達が働くこの場所は、まさに沖縄。やっぱり下町感覚が好きなんです。小綺麗な作られた場所よりも、人の営みが染み付いた場所。一つひとつのシミが醸し出す空気は、連綿と集い続ける人々の空気と混ざりあって、えもいわれぬ街の色を、音を、奏でています。
で、ちゃんぽん。簡単に言えばスパム入り野菜炒めを玉子丼のように出汁でまとめたものがごはんの上に乗っている、というものです。久しぶりの米。背徳感と満足感がせめぎ合うひととき。こういうときの炭水化物って、ひときわうめーっすよね。
この空気が沖縄たらしめる
さて、取材は11時には終了するのですが、早いと言ってもこの時点で既に5時間は経過。ここから原稿を書こうと向かったのが、ここも沖縄に来たら是非行きたかった『A&W』。
今から25年前、大学の卒業旅行時に初めて体験したルートビア。この独特な味わいの飲み物を現地で飲むのも、今回の目的の一つでした。原稿を書きながらルートビア(店内飲食の場合はおかわり自由!)。修学旅行生のランチタイムに紛れながら、ひたすら今朝の7人分のライティング。
窓から見える沖縄の空は、12月とは思えないくらい青く、やっぱりリゾート地だよなぁ、と、つくづく感じます。後で知るのですが、この日の気温27度。…夏やんけ。
外に出ると、不快指数が上がらない、適度な湿気を含んだ空気が気持ち良く、人の温かさと相まった雰囲気が世界からの人々を呼び込むのだろうと、とても感じます。今回歩いた国際通りは、修学旅行生はもちろんのこと、歩いていても多言語が飛び交い、働いている人たちも多国籍に富んでいました。さながらアジアンインターナショナルストリート、まさに国際通りです。薬屋さんはとても多かったけどね。今でも爆買いはあるんですね…。
沖縄滞在時間約24時間。限られた時間だからこそ、全力で楽しみたいと、仕事も全力で知り合い、全力でコミュニケーションを取り、腹一杯満喫した24時間笑 沖縄の人たちとは4月に熊本で再会を約束して別れました。
〈追記〉これも人の縁
嫁と一緒にボクサーパンツ専門店をしていますが、沖縄にもボクサーパンツ専門店があるんです。お互い存在は知っていたので、ここは是非会いましょうと連絡を取り、初めてお会いしました。とても好青年でかなり前向きで。来月のファッションショーでの協賛をお願いしたら快諾いただき、さらに福井にも遊びに来てくださるとのこと! 来てくださった暁には全力でおもてなしします! 福井に来てくださる、それだけでとてもありがたいと、いつも思います。今回もいろんなつながりが生まれた1泊2日の出張でした。