半沢直樹の名言
ドラマ『半沢直樹』、観てます? 面白いですよねぇ。ツイッターでのキーワードはずっと世界1位みたいですね。で、とても思ったんですが、ビジネスマンが考えるべきセリフが、前回よりも散りばめられているような気がします。前回はどっちかといえば復讐劇みたいなもんでしたからね。
その中でも、これらのセリフがとても気に入りました。
「一つ、正しいことを正しいと言えること。一つ、組織の常識と世間の常識が一致してること。一つ、ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されること。その当たり前が今の組織は出来ていない。だから誰かが戦わなければいけない。仕事は客の為にするもんだ。ひいては世の中の為にする。その大原則を忘れたとき、人は自分の為だけに仕事をするようになる。自分の為にした仕事は、内向きで卑屈で醜く歪んでいく。そんな連中が増えれば、当然組織は腐っていく。組織が腐れば世の中も腐る」。
「「勝ち組」、「負け組」という言葉がある。私はこの言葉が大嫌いだ。大企業にいるからいい仕事ができるわけじゃない。どんな会社にいてもどんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し、達成感を得ている人のことを、本当の「勝ち組」というんじゃないかと俺は思う」。
今この世の中に存在している仕事って誰かのためにするから存在してると思うんです。自分の仕事はきっと誰かが喜んでくれるから、一所懸命できると思うんです。仕事ってそういうもんなんだと思ってます。
一所懸命こそ美しいのに
仕事柄、いろんな人に会います。老若男女貴賤問わずいろんな人に会います。どんな仕事をしていても、一所懸命取り組んでいる人は、輝いています。輝いているから周りが助けて、周りが信頼してくれるんです。
ただ、時たま出会います。その本質を忘れてしまっている人が。目立つから、儲かるから、思い通りに進めたいから、偉くなりたいから。それって、全部自分の為だけの仕事になってしまうんですね。ちなみに儲けることは間違いではないです。ただそれが先行してしまうと一所懸命さが伝わらなくなる、結果信頼されなくて、結果儲けられなくなる、ってことだけです。
利他の精神が基本
昔、100満ボルトという家電量販店の社内報を作っていたことがあるんですが、当時の代表である、故・柴田清一郎さんから含蓄ある言葉をいくつもいただきました。その「柴田語録」の中でも今も心を貫くのが「数字は後から付いてくる」です。つまり、まず相手のことを考えなさい、ということです。
これって、稲盛和夫さんがよくおっしゃっている言葉であって、仏教用語でもある「利他」と同義です。まずは相手の幸福を願いなさい、ってことです。まあ多いです、利他に関する名言って。「利他 名言」と検索してもらえればいろいろ出ます。ということは、昔から「利他」は人生において、商売において基本中の基本っちゅうことですね。
きっと、朝活のBNIを9年続けられるのも、この精神が根本にあるからなんだろうなー、っては思います。BNIでは「Givers Gain」っていうんですが、日本語に直せば「与える者は与えられる」って言います。これが日本ではなくアメリカで産まれたことが、行き過ぎた時代のアンチテーゼなのかな、って思います。
残念な、勿体無い人たち
では、それを誤るとどうなるか。
勿体無いことになります。いくら一所懸命やってる、って自分で思っても、周りからはそんな風に見られません。だって見え見えなんだもん。「あー、こいつは自分のことだけなんやなぁ」と、徐々に人は離れて行きます。
あと、よく言うじゃないですか。「老害」って。時代は変わってるのに自分の権力欲しさに居座る人って。経済の世界でもありますけど、政治の世界によくありますよね。特に政治家は市民の、国民の為に働きたいからするもんなんじゃないかと、ずっと思っています。でも、我欲の為に動いてる人、よく見かけますよね。「俺、議員だから偉い」とか、普通に思っている人、いますよね。昔取った杵柄か何か知りませんが、周りを考えずに居座り続ける、そういうのを「晩節を汚す」って言うんです。勿体無いです。後ろ髪引かれるくらいで「勇退」すると、より周りから信頼も得られてカッコいいんですけどねぇ。
役職と役割の勘違い
そして、その権力が欲しい人がよく間違えるのが、「役職」じゃないですかね。トップになりたい人って周りにいませんか? トップ=権力、という構図がありますからね。猿山の大小問わず、ボスになりたい衝動って、動物ならあるんでしょうか。
ヒエラルキーって言葉、聞いたことありますか? 聞いたことはなくても、組織図でピラミッド型の図形を見たことはあると思います。ヒエラルキーって、それです。頂点はトップ、企業で言えば社長とか会長とか。政治なら総理大臣ですかね。
そこなんですよ。その図形を見ちゃってるもんだから、一番上が一番権力がある、みたいな錯覚起こしてるんです。そこが根本的な間違いです。ピラミッドの頂点が権力者って、誰か言ってますか? 言ってたとしても、それは時代錯誤だな、と思います。
リーダーという「役割」
トップ=リーダーってことなんですが、リーダーという「役職」は、そのピラミッドの頂点から世界を見渡して、突き進む方向性を先頭切って指し示す(リードする)「役割」なだけであって、役割に上下はないです。社長だから偉い、というのではなく、社長という役割を企業の中で全うする、ということに過ぎないんです。社員の雇用を守る、会社の方向性を考える「役割」なんです。平社員の人は会社の方向性よりも、目の前の仕事の方が大事だと思います。その仕事も会社にとって大事なことです。それを与えられている「役割」なんです。ヒエラルキーは「役割分担表」のようなもの、だと思ってください。
つまり、リーダーとは、組織を、チームをリードできる人が周りから「選ばれる」ものであって、「なる」ものではない、ということです。だから、「なりたい」という人は、基本的にリーダーの意味を取り違えている、ということなんです。なりたいからなれるものじゃない、選ばれるからなるもの。
『7つの習慣』著者のスティーヴン・コヴィーさんも言います。「Leadership is a choice, not a position」(リーダーシップというのは選択であって、肩書きではない)と。『WHYから始めよ!』著者のサイモン・シネックさんも言います。「Leadership is a choice, not a rank」(リーダーシップは選択であり、職位とか順位ではない)と。
目的と手段の勘違い
も一つ。リーダーに「なりたい」という人の決定的な間違い。「目的」と「手段」を取り違えているということです。リーダーになることが目的になってしまうと、そこがゴールになっちゃうんです。となるとどうなるか。自分の為だけの行動になってしまうんです。前述のセリフでもありました。組織がダメになると世の中はダメになる、って。そのあと書きました。今存在している会社ならびに組織は、誰かの為になっているから存在しているのだと。つまり、自分の為の行動に陥った組織は世の中の為にならない、ということではないですか。
だから組織の、企業のリーダーとして「選ばれた」人は、組織が、会社が、世の中の為にどうやったら成長を果たすのかを、頂点の位置から見渡して、みんなを指し示していくことが大事なのだと思っています。決して自分ができている、とは1ミリも思っていません。ただ、そうありたいと思って行動しているだけです。
これからの人たちへ
最後に、これから社会に出る人に伝えたいと思います。
仕事を選ぶ際、どういう経緯で、どういう基準で選びますか? 「あの会社に入りたい!」とかはありませんか? 最近は福利厚生がしっかりしてるところを選定基準にしてる、ってはよく聞きます。
つまり、仕事の中身よりもネームバリューや休みを基準にしてる、ってことなんじゃないかな、って思います。ネームバリューだと「こんな仕事ができるイメージ」とか、「この会社は給料がいい」とか。でもそれって、入ることが「目的=ゴール」になってしまってないかな、って思います。会社に入ることは目的じゃなくて、あくまでもスタート地点に立っただけです。その会社を通じて何を自分は成し遂げたいのか、という、その先の「目的」がないと、本当のゴールは目指せないはずです。
そして休みが欲しい人。よく自分が使う言葉に「ライスワーク、ライクワーク、ライフワーク」って言葉があるんですが、ライスワーク(お金のためだけ)だと何もその会社で得るものがないまま時が過ぎるか、辞めてしまいますよ。せめて入った会社の仕事が好きになる「ライクワーク」にまでたどり着いて欲しいと思います。やらされる、という感覚で仕事をしていると、本当に勿体無いですよ。だって、残業無しで働いていたとしても、これからの毎日の1/3は会社の仕事で使っているんですから。
まだ自分の目標を見つけられていない人へ。まだ大丈夫。いつだって、見つけることができます。見つけるためには多くの人に会ってください。そして多くの人の言葉に耳を傾けてください。そこで自分が目指すべきものがきっと見えてきます。
そして既に自分の目標を見つけている人へ。わき目も降らず突っ走ってください。周りからいろんなことを言われることもあると思います。でも、自分の信じたものを一番大事にしてください。弱気になる自分の気持ちが、一番の敵だと思ってください。大丈夫。あなたが信じた道はあなたが一番理解しているから。
セリフでもありますが、その会社で一所懸命、誰かの為に働くこと。それが本当の「勝ち組」です。まぁ、「勝ち組」「負け組」なんていう概念、そもそもありませんから。好きな仕事として、その先にある自分の目標をしっかり持って、人の為に、世の中の為に働く、そういう人が、後々いろんな意味で得るものが大きいと感じるはずです。是非、会社の仕事を好きになってください。仕事を通じて誰かの為に生きてください。仕事を通じて自分の成し遂げたいことに向かってください。そういう人たちがこの街に増えることが、自分の期待することです。