美浜の魚と地元ならではのお菓子
お昼は町内で2軒しかないお寿司屋のひとつ『おとり』さん。「宮田さんですよね、マスク越しでもわかりましたよ」。Σ(゜Д゜;) ビビったー…。ずーっとずーっと若い頃にこちらで取材させてもらったことがあり、覚えていてくれたそうです。尾鳥健太さんありがとうございます! 海のある町なので焼き魚に刺身に酢の物と魚フルコースいただきました。魚が旨いのはもちろんなんですが、つくづく思います、米が旨い。炊きたての米のなんと旨いこと。ツヤッツヤの米はこれだけでごちそうです。ホントに香の物と汁だけで十分満たされるくらい。福井に生まれてホントに良かったと思う瞬間です。
水ようかんは福井県全域で“冬”
いただいた後、食後のデザートに、と、『中西製菓』さんへ。この通りはかつて民宿が立ち並ぶ場所だったようです。すぐ隣が海ですから、いわゆるビーチリゾートだったわけです。しかしその面影だけを残し、ひっそりと佇む通りになりました。その中で唯一と言えるくらい残っている中西さん。お目当ては味噌まんじゅう…だったのに売り切れ! やっぱり人気なんだなぁ…。なので、水ようかんいただきました。こちらは珍しくカップに入ったミニサイズも販売しています。それだけでも県内では珍しいですね。ちょっと食べたいときにはベストなサイズです。
というか、こちらも冬限定なんです。水ようかんって、福井の冬の風物詩なんですが、嶺北地方だけの食文化かと思っていました。でも違うんですね、福井県内すべての食文化です。以前福井の最西端・高浜町に行ったときも水ようかんは冬にしか出ない食べ物でした。ただ、嶺北とちょっと違うのが砂糖です。嶺北は黒砂糖を使う方が多いのですが、嶺南は上白糖を使う方が多いそうです。だからかー、いつも食べてるのとは違うのは。味ですか? 買いに来て食べてみてください(#^.^#)
翌日いただきました味噌まんじゅう「難攻不落」。戦国時代の日本では味噌は貴重な栄養源。そこでまんじゅうを作るときは味噌を使おうと。さらに地元のものを、と、地域の主婦の皆さんで作っている手作り味噌を使用しました。中西さん曰く「子どもたちは味噌汁を飲むとき具しか食べなかったのが、このお味噌を使ったら『何か違う』と、飲み干してくれたんです」。そんなに美味いのか……。ならば売ってくれるかなと思って行ってみたら、地元の消費分しか作ってないから、と……。
三方五湖の入り口
さて、お腹も満たされたことで行ってみましょう三方五湖。三方五湖は完全な湖水ではありません。汽水湖という海水も混じる湖です。その入り口が久々子湖。 かつては遊覧船とかあったんですよ。人の手によって掘られた水路・浦見川を通って、水月湖や三方湖まで遊覧するって。惜しまれながらなくなってしまったのも、富士五湖のように観光地化されてないですからね…。やっぱり生活中心の湖だし、自然を大事にしてきたし、そもそも土地がないし、県外資本が入ってないですから。それが功を奏して、今は密にならず、昔ながらの風景が残る観光地になっているというプラスの面があります。
本殿のない神社
ぐるぐる回っていたとき、ふと「?」って思ったのがありました。久々子湖の海水の入り口、早瀬地区のところに水無月神社という鳥居はあるんですが、本殿がない…。台風とかでなくなったわけでもなく、四方に土台の石があるだけで…。海を祭神としてるからない、ってわけでもなく…。なんだろう?? と思って地元の人に聞いてみました。日本酒好きなら地区の名前でわかると思いますが、美浜町が誇る銘酒『早瀬浦』で超有名な『三宅彦右衛門酒造』に行って来ました。
こちらの酒蔵、ホントに集落の中の中にあるので、車で行くときは十分注意してくださいね。旅行に来て車擦ったらブルー入るやないですか。心配なら近くに車停めて歩いてみてください。この狭さが何とも言えず渋さ爆発です。人一人分の幅しかないような路地が結構あって、雪積もってなかったら歩きたいくらいです。
実はあの神社は「御旅所」の役割であって、7月3週目に海沿いにある本殿から神輿を降ろし、海を渡ってこちらに鎮座する、という行事が行なわれてるんです。その際、海に神輿を降ろしたら、海に向かって三方向に矢を放つそうです。その弓、お店にありました!
だから水無月なのかー。旧暦で数えたら6月だもんなー。豊漁を願ってたんでしょうね。覚えていたら是非見にきてください。7月3週目です。
湖じゃない湖・日向湖
さっき、五湖はつながってるって話言いましたけど、唯一日向湖だけはつながってません。海水なんです。なので湖と言っていいかどうか、ってとこはあるんですが、実はちょっとだけ汽水湖だったんです。三方湖水月湖が増水で悩まされた頃に水月湖と日向湖をつなぐトンネルを作ったんですね。それが嵯峨随道でした。
しかし、いきなり開けたもんだから、日向湖の生態系が狂ってしまい、全滅してしまったそうです。「こりゃあかん」と、そのトンネルは閉じてしまいました。その結果、日向湖だけは海水100%の湖になった、ってことです。今では湖の中で畜養や釣り堀など、海水魚を生かしたビジネスが成り立っています。今回はそのトンネルを見に行こう、って思った、、、んですが!
裏三方五湖を往く
日向湖はいいんです。湖の周遊道路沿いから見えるから。問題は水月湖のほうです。道なき道を進むんです。それも雪の中を…。水月湖の奥にあるホテル『水月花』の脇道をずずずいーっと進むと、農道というか、車一台分の幅の道が続いていきます。
三方五湖は湖の回りが全部道になってはいないんです。この裏三方五湖道は梅栽培の農家さんが通る道であって、観光道路ってもんじゃあありません。さらに雪。下手すればスリップしてアウト。柵も簡易的なものだから、滑ったら湖に落ちてアウト。今回行こうと思ってたけど、轍もないし、かなり躊躇しました。
ですが、行きました! 雪でふさいだ竹の木を突破して、小枝とはいえない枝を踏み潰して、雪が残る轍のない道を踏破して、なんとか辿り着きました。
ここがかつて水月湖と日向湖をつないだ嵯峨随道です。別に何のことはないトンネルっちゃあトンネルなんですが、かつての人々の苦労がしのばれるなぁ、と一人感慨深く思ってたわけです。ふとカメラを覗くと、かすかに感じるんです、潮の香りが。え?もしかしてつながってる?? まさか…。汽水湖とはいいつつも、あそこからここまで潮の香りが届く??
この道を進んでいくと、ゴール地点辺りに浦見川を真下に眺める場所に出てきます。久々子湖と水月湖、日向湖と水月湖を結ぶ水路の旅を終えて、ホテルに向かうことにします。
ホテル湾彩の激おもてなし
『ホテル湾彩』。コロナ禍の中オープンした美浜町の観光ホテルは、海を望む場所に建てられています。お部屋からも海&海! 海水浴場はいうなればプライベートビーチみたいな近さ。っても、今年はコロナのせいで遊泳さえも禁止させちゃったんですよね。今思うとそこまでしなくても、って感じはしたんですけど、まだまだどんなものかがわからない時期でしたし、嵐の中の船出だったと思います。Go Toトラベルで一時は盛り上がりましたけど、突然の中止…。まだまだ試練は続きます。あ、ちなみにホテルのすぐ横を抜けて海に出ると、太子堂があって、隣には洞穴があります。お水が湧き出ているのですが、一説によると子授かりのお水、って言われてます。そのまま飲まないでください、っては言われてます。かなりヒミツな場所です。
今回のお楽しみだったごはん、凄すぎ! もうビックリしました! 一時間食べっぱなしっておもてなし半端ない…。魚でいえば若狭のお刺身、ぐじの若狭焼き、若狭ガレイの唐揚げ、さらに唐突にポワソン、うなぎちらし、若狭牛のステーキにすき焼きと、どんだけ出てくる!? 全部美味しくいただきました。しばらく動けませんでした。ってか、そのまま落ちました…。
<急 へつづく>