デトックスって、解毒って意味なんですが、よく言われるのがファスティングなど体のデトックスって言いますよね。今回、近しいけどちょっと違います。
デジタルデトックスというものです。これも最近は増えてきているんですが、スマホやPCから距離を置くことだったりもしています。そこから派生してSNSなどデジタルデバイスのコミュニティからも距離を置くことも広義のデジタルデトックスとも言われてます。今回はこっちのほうです。
今はSNS全盛ですよね。昔ならBBS(Bulletin Board System)という、懐かしい言葉がありました。いわゆる電子掲示板というやつです。『シティハンター』に出てくる、駅の掲示板(これも知ってる人は少なくなりましたが…)の電子版、みたいなものです。でもって、mixi、twitter、facebook、LINE、instagram、tiktok、などなど、ホントにたくさんSNSが出てきてます。今ではニュースやバラエティ番組もSNSに落ちている投稿がネタになってたりしてて、それで報道や制作としてホントにいいんやろか、っては思うことあります。といっても、起きたことに対して即反応するのがSNSなので、報道側も即時性で言えばまあまあ見ざるを得ない部分ってありますよね。社会を動かすきっかけを作るのもまたSNSから、というのも時にはあります。
そういう意味では今の社会においてSNSの役割的な部分ってなくはないんですよ。あくまでも「功」の部分で。でも、もう一つ「罪」の部分もある、ということは知っておいたほうがいいです。
気付かないうちにそれらに時間を取られてる、ってことないですか? 「いいね」の数に一喜一憂してることないですか? 見ず知らずの人たちと、文字だけのやり取りに疲れることないですか? 実体験としてそういうことはないんですが、そういう話を周りで聞くことはあります。言いたいことはある。けれどもお互いの価値観だけで言いっぱなしなもんだから、問題も起きる。そりゃそうですよね。相手のこと知らないんだから。SNSでつながっている=友達、知り合い、ではないんです。顔付き合わせてお互いのことを知って、初めて知り合いとか友達って言えるんです。
コミュニケーションって、簡単に出来る人は簡単に出来るんです。でも、それが当たり前だと思うと、そうでもないんですね。相手も簡単にコミュニケーション出来る人かどうかは、話さないとわからないですよね。それを如実に描いているのが、今まさに公開している『シン・エヴァンゲリオン』です。人と繋がるのが苦手な主人公、そんなのを全部取っ払って一つになろうとする人類補完計画。でも最後は、コミックでも描かれていますが、人と人の間を作ってコミュニケーションを取ろうとする主人公の意思が尊重されます。
人と人はつながりたいと思っても、自分の殻(いわゆるエヴァでいうATフィールド)が必ずあって、受け入れる度合いも人それぞれなんです。それがSNSになると殻に籠ったまま、殻に触られないままコミュニケーションができる、的な感じがしています。殻に籠ってるから言いたいこと勝手に言って、閉じ籠ることができるんです。炎上した日には集中砲火を浴びて、ATフィールドを突き破られる感覚になって、居場所がなくなる、みたいな。でも、集中砲火を浴びせる方も、相手のこと知らないです。殻に閉じ籠ってるから。それはコミュニケーションとは言えないですよね。言いたい放題、自分の価値観で、自分の意見しか認めない、それでいて「私を見て!」って言われても…。
ホントに承認欲求が強く出る人が増えたな、って思います。それを助長したのもまたSNSだったりしてます。決して承認欲求が悪いってわけじゃないです。このブログだって、ある意味承認欲求の一つでしょうしね(^^; ただ、過剰になるとコミュニケーションに障害が出ます、ってことです。それが顕著になってる、ってことです。
これがSNSの「罪」。というか、SNSに罪はないです。それを使う人の資質です。上手く付き合えるように資質を高める必要がある、ということです。
そこから逃げるためにデジタルデトックスする、ってわけじゃないです。単純に見てないだけです(^^; 断捨離ではないですが、選択する、ってことです。twitter、instagram、この2つ、昨日アカウント削除をしました。facebookとLINEは続けます。
この差はなんだろう、って考えたら、「匿名か非匿名か」なんですね。日本で初めて汎用のSNSができたのが2004年、mixiでした。そして2006年、twitterでした。facebookが2007年あたりから日本に入り始め、同時期にLINEも登場して、2012年には全デバイスでinstagramができるようになって、2017年にtiktok、2020年にclubhouseと、ざくっと流れを書いてみました。
考えていたのは、匿名と非匿名が振り子のように振れてるなー、ってことです。匿名性の高いmixiやtwitterが出て来て匿名性が引き起こす弊害に疲れ、非匿名性のfacebookに振り子が振れ、それもまた疲れて半匿名性のあるinstagramやtiktokに流れて行った、って見ています。
あくまでも、SNSはリアルコミュニケーションを補完する役割に過ぎないです。SNSが全てではないです。だから、リアルコミュニケーションをより高めたく、非匿名のSNSだけを残してデトックスすることにしました。
世の中はデジタルデトックスの流れが始まりかけています。スティーブ・ジョブズは子供にipadを持たせなかったそうで、ビル・ゲイツは子供にケータイを持たせなかったそうで、テックフリー教育というのが当たり前になってきてるそうです。この流れが日本に入ってくるまでは、もう少し時間はかかりそうですが、やがてそれが当たり前になったとき、この国はまた新しい姿を見せるのではないでしょうか。良い意味で変わりそうな気もします。