映画って楽しい

今年、「福井駅前短編映画祭」と「ふくいムービーハッカソン」は10年目を迎えることとなりました。サラリーマンをしながらも、なんとか映画を作る”場”を作り続け、サラリーマンを引退してからは映画祭の実行委員長にもなって、いろんなところに顔を出すようになって、仲良くなった人も全国に多くなって、ますます腹をくくって生きていこうとしています。
その一つが今年の映画祭です。10周年ということで3日間開催して、全国で映画祭を開催されている方々をお呼びします。情報共有の場としたい、交流の場としたい、そして福井の人に「やっぱ映画って愉しい」と伝えたい、福井の人に「やっぱ福井って愉しい」を伝えたい。この想いだけで生きてる感じです、最近は。
もちろん、愉しいと感じることって人それぞれだし、映画が愉しいと伝えても、興味のない人にいくら伝えても伝わりにくいと思います。まあでも、伝えなければ伝わらないものですし、伝え続けて愉しさの輪を広げていくだけです。

てなことで、11月7日から始まる「福井駅前短編映画祭」を前に、運営の仕方など勉強をしに、札幌に行ってきました。「札幌国際短編映画祭」は今年で20周年。おめでとうございます!
継続するために
仕事にしても会社にしても、活動にしても継続するって本当に難しいです。特に文化的活動の継続は本当に難しいです。以前も文化振興財団の発表会に行ってきましたが、みなさん口を揃えて資金面での苦悩を口にしていました。
街で文化を作るって、並大抵のことではなく、持続可能なものにするには資本がどうしても必要になってきます。資本が足りなければ支援していただくことになりますが、どうしても行政の助成金頼みが多くなってしまうのが、今後の課題でもあります。
支援する側も、当たり前ですがそれに見合う”何か”を求めるのであり、その”何か”を生み出すために、運営側のアイデア力が大事なんだろうな、と思っています。

一番いいのは、うちのギャラリーで販売している長坂真護くんのような感じなのかな。ガーナでの地球を守るための活動費を自作の絵で賄うという流れ。絵は活動に対して支援する「対価」であり、彼が有名になればなるほど作品の「価値」は上がり、「所有」することがステイタスになり、さらに「価値」は上がっていき、活動がより持続可能なものになる、という流れ。
なので、取り組んでいる映画、映画祭も「価値」を高めるアイデアが必要なわけです。ただ、文化は根付くまで最低10年はかかるもの。それまで続ける「覚悟」が求められます。今年は「福井駅前短編映画祭」も10周年、まだまだではありますが、ちょっとは認知され始めてきた、かなぁ…。だから20年続けた「札幌国際短編映画祭」には学ぶべきことはたくさんあると、全日程参加してきました。
札幌までの道程

さて、今回どうやって行ったかというと、飛行機なんですが「小牧ー丘珠」という、マイナー飛行場toマイナー飛行場ルート。普通なら小松でしょうが! となりますが、このフライト、ひっでもんに安かった! かなり早割で予約して、なんと往復17000円! いやー、お得だった…。
加えて泊まりはバックパッカーみたいな場所で素泊まり3000円! なので、5泊で15000円。つまり交通費宿泊費で32000円という破格値。まあ寝るだけだからと割り切って、そんな旅にしてみました。
意外と知られてないと思いきや、小牧空港から旅立つ人めちゃくちゃいました。名古屋駅から小牧空港行きのバスが、乗れない人続出状態…。ギリギリ乗れましたが、少しでも並ぶの遅れたら飛行機にも乗れなかったしヤバかった…。
札幌の前に

と、その前に、せっかく名古屋から乗るのだからと、「冠レース」なるものも行なってきました。これは、所謂地方競馬の「協賛レース」であり、何ができるかというと「レース名を付けられる権」なんですね。これまで結婚◯◯◯日記念と銘打って各地の競馬場で行なってきました。妻からは「やろうよ」と言われ、調べてみたら6666日! やるしかない、このタイミングで笠松競馬場がやっている、行くしかない、てな感じで、札幌に旅立つ前に家族の思い出作りをしてきました。

でもって、丘珠空港到着、なんですが、札幌市内にあるのでめちゃくちゃ都心部に近い! 人も新千歳空港よりもはるかに少ないから楽。北海道はこのルートありだよなぁ、と、普通に思いました。
予定が空いた!
映画祭は翌日夕方から。スケジュールが確定する前にフライトの予定を立てたから、ちょっと空いたな…。てことは、”あそこ”に行けるんじゃね??? ってなったわけですよ。

一度行ってみたかったんです「エスコンフィールド北海道」! 新庄監督が就任してからは、近鉄バファローズの消滅以来無くなっていた野球への興味がまた沸いてきて、それもクライマックスシリーズでエスコンでの試合! と、さすがに試合は見れないので、前日に行けば人も空いてるだろうと、早速レンタカーを予約して向かいました。
といっても、それだけでは納得しないのも貧乏性の証。せめてあそこも、せめてあそこも、なんて考えているうちに、夕方が迫ってくるわけです。
せめてものあそこ

最初の「せめてあそこも」は、苫小牧にあった喫茶店。せっかくだから朝ごはんもファストフードとかコンビニでは味気ないので、どこかやってないかなと探してたら見つけたとこだったんですが、しかし!
サイトを見たら「福井県の焙煎士から珈琲豆を購入して」と。何故に福井のを? 溢れる好奇心を抑えきれず、車を走らせ約1時間。到着したのはフェリー乗り場の近くの喫茶店『豆の木』さん。元々カフェをやっていた方が辞めた後、その魂を受け継ぎ再開させたそうです。
で、何で福井の豆なのかと聞いたら、カフェを始めるにあたり、いの一番に珈琲豆を厳選しようと、全国のいろんな豆を取り寄せたそうです。その中にあったのが、副業で焙煎豆を販売している『mk自家焙煎』さんだったそうです。

自分の求めていた味にジャストフィットし、無理を言ってお願いし、使うようになったとか。実は初めて聞いたお店なので、サイトを調べてみたら住所も書いてなく、まあ副業で自家焙煎って言っているくらいだから秘密にしてるんでしょう。後で場所は分かりましたが、なるほどあそこなんですね。
しかしながら副業が本業の収入を超えて行ったってんだから、相当人気なようですよ。一度お試しあれ。
ウポポイ!

で、次に向かったのが、再びの『ウポポイ』でした。いやーここは何度行ってもいいです。アイヌの文化を事細かく伝えてくれています。時間も時間なので駆け足で見てきましたが、世界にアイヌが伝えられた特別展もやっていました。
今、ちょうど『ゴールデンカムイ』が映画化されていますが、やはりあのマンガは偉大だったと思います。アイヌ文化を冷静に伝えていながらの、歴史とエンタメを融合させたわけですからね。

エスコン!
そしてそして! ぶっ飛ばしてやってきました「エスコンフィールド北海道」! 超デケー! 日本ハムファイターズファンなら、いや野球ファンなら、いや、全国のプロスポーツ球団で球場やドーム、アリーナを持つ、持とうとしている方なら、是非訪れたほうがいい、ってくらいの場所です。

ファンサービスから球団運営から、何もかもが規格外。もちろん試合の面白さが一番なんですが、演出の仕方もそうですし、何よりもシャウエッセンが美味しいし(笑)。
ちょうど選手たちは練習をしていたんですが、ファンがこれでもか、と、見に来ていました。やっぱり試合のない日でもたくさん来ていて、お土産店はさらに多かった…。お金に余裕があればいろいろ買ったけど、使えるものを厳選して買ってきました。


しかし、クライマックスシリーズは惜しかった…、本当に惜しかった…。2連敗して崖っぷちからの3連勝で逆王手。最終戦までもつれ込み、白熱の投手戦で1-2。清宮幸ちゃんはやっぱり清宮幸ちゃんだわ(笑)。
本題の映画祭


さて本題。また本題までが長い…。「札幌国際短編映画祭」です。東京で開催している「ショートショートフィルムフェスティバル(SSFF)」を体験した久保さんという方が「札幌でもやりたい!」と、直接SSFFの代表を務める別所哲也さんに会いに行き始めたのが始まりで。この情熱なんですよね。「やりたい!」を「やる!」に変える情熱。そしていろんな人を巻き込む情熱。
今回の映画祭でもたくさんの人がスタッフとして参加していました。一人の情熱が形になり、街なかで大きな渦になっていくのを目の当たりにしました。映画館を飛び出しての野外上映も、いろんな人が映画に関わり、そして映画祭とつながり、と。
同窓会のようなもの


昨年も参加して、今年も参加すると、1年ぶりに会う人も多く、さしずめ同窓会のようなもの。学校という同窓会ではなく、社会人になって、住む場所も仕事も年齢もみんな違うけれど、でも映画という同じ方向を向いている”同士”たちの同窓会、という感じです。
こちらは国際短編映画祭なので、海外の作品も多く、それがまた日本とは違う独特の雰囲気と感性があって。15分くらいなのに引き込まれる映像で。短編映画の質が総じて高いのは、それが文化として根付いている証拠なんだろうな、と思いました。昨年のトークイベントでは短編映画1本に億単位という桁外れな話も聞いてて、世界観が違うなぁと思ったものです。

先ほども話しましたが、支援するということは、何かしらのリターンも必要であって、じゃあ映画におけるリターンってなんだろうとなると、劇場公開で観てもらうことなんですが、短編映画で劇場公開って日本では、やっと出てきた感じですがまだまだって感じで。
最近では『国宝』や『宝島』など3時間を超える作品も人気になっていて、短編映画って需要あるの? なんて言われそうですが、これからだと思っています。タイパって言葉が映画の世界にも侵食してきて、今にパラダイムシフトが起きるんでは、とは思っています。
目指すべきステージ

星の数ほどフィルムメーカーがいて、星の数ほど毎年作品が生まれ、映画祭という限られたステージで輝く。そしてそのステージが高ければ高いほど、個性的であればあるほど、選ばれた作品たちの輝きはさらに増す。となれば、自分たちが作り上げる映画祭の目指すべきステージとは。
と考えたとき、大きな個性となるのが、審査委員長である津田寛治さんの存在と感性でしょう。今回のノミネート作品の審査でも唸らされることがありました。ただ面白かったのが、「え? もう終わり?」というくらい、審査がスムーズだったこと。
審査員の評価がほとんど同じだった、ってのも大きいです。自分の評価が外れても「でもこの映画津田さん好きだろうな」ってのを津田さんも選んできて。逆に「これいいなぁ」と思ってもシチュエーションで「?」って思ってたことを指摘してきて。もう唸るしかなかったです。全部突いてきたなーって。
それでいて、他の映画祭で選ばれるような作品でもなかったり。やっぱり個性的です、うちの映画祭は(笑)。でも思いとしては「この映画はみなさんに観てほしい」、「この演技を観てほしい」の一点です。今年も良作揃いです。

特に今年は10年目になるので、映画上映だけではなく、トークイベントも開催します。これまで「ふくいムービーハッカソン」に関わっていただいた監督さんや役者さんに来ていただき、「福井で映画を撮ること」についてのお話をしようと思います。
加えて全国の映画祭のプロデューサーや実行委員長さんなどをお呼びして、各地での映画祭の取り組みやその歴史、地域との関係性などをお話しようと思います。

このトークイベントも、県民の方に「映画って面白いんやな」、「福井ってなかなかやるな」、「映画とまちづくりって親和性あるんやな」ってのを感じてほしいからです。なので、たくさんの福井県民に来てほしいと思っています。
その積み重ねが文化を作るんだと思っています。誰かがやってくれるだろう、ではなく、誰もやらないなら自分がやる、という覚悟ですね。だって福井県民ですから。「ないなら自分で作る」DNAの県民ですから。
