灼熱の3日間
心底やりたいことをやって、
心底楽しい気分を味わって
心底疲れたけれども、
心底幸せな気分を味わえた映画祭でした。
自分で写真を撮る間もないくらいで、ただ一点、参加してくれた方々、ご来場いただいた方々が「楽しかった」という一言がもらえたことで、それで幸せでした。ちょっと皆さんのSNSからお写真お借りします(汗)!

「第10回福井駅前短編映画祭 supported by 天晴データネット」、11月だってのに半袖で駆け回るような、灼熱の3日間でした。ご出資いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。北海道から九州まで、全国津々浦々からいろんな方に来ていただいたのに、話す機会もそれほどなかったのが申し訳なかったです。
交流はプライスレス

今年の、というか、映画祭を開催するにあたっての自分なりのテーマは、当たり前なんですが「交流」です。良い映画を作る人、その映画を楽しんでくれる人、そういう人たちとの交流は、何物にも代えがたい時間ですし、財産です。そう、プライスレスです。それを感じてもらえる時間を作るのが、自分の務めだと思ってやってきました。
これまで培ってきたいろんな人との出会いを、集大成として3日間に詰め込みました。今年は10周年ということなので、これまでやったことのない世界を作ろうと思っていました。会社を辞めてから自由になり、全国を飛び回ってここに至り、そしてここから始まる世界を作ろうとしていきました。
もう、情熱しかありません。目の前の数字を追うようなビジネスの話じゃない、文化を作ることに取り組んで生きていき、会社を辞めてそれがさらに加速した感じです。いつもいつも、相手が軽く言ってきたことに対して行動で示し、それが結果的に人のつながりを作るということを、実践してきました。
前回の上海編に関しても、相手はかるーく言ってくるわけです。でも、それを本気と捉える性格なんです。だって、それを言ってくれることを心底嬉しいと感じるから。言われるってことは、少なくともそういう気持ちがある、ということですし、そういう気持ちになってくれたことに全力で向き合う、という性格です。
だから、逆も真なりです。自分が口にすることは、本気でそうする、本気でそうしてほしいということだけです。まぁ、そういう意味では面倒くさい人間なんですけどね(笑)。そんな思いで去年今年はいろんなところに行って、いろんな人に会って、いろんなことを話してきて、今回の映画祭を実現に持っていくことができました。本当に自分の本気にお付き合いくださりありがとうございました。
初の3日間開催

これまでの映画祭は、当時福井工業大学の先生だった木川くんや松原さんがいたから、「ふくいムービーハッカソン」のほうに注力していましたが、2人とも福井を離れたことでこちらにすべて回ってきて、実行委員長としては2回目になるのかな。
でもって、10年目だし、今年だけは大きくやってこうと、3日間開催を決めました。津田さんとは、「大きくするよりも継続することが大事だよね」とコンセンサスは取れているので、11回目は普通に戻していきます。それでも何かしら変化、挑戦はしていくつもりです。
10年目に向けて、まさに「交流」を自分なりのテーマにして、映画人、映画祭人、観客、いろんな人が映画を通じてつながる場にしようと企画してきました。その一環がトークイベントです。7日は「ふくいムービーハッカソン」関係者、9日は全国の映画祭関係者の方々をお呼びしました。
お呼びしたムービーハッカソンの関係者は、10年この町で映画を作り続けてきた“同志”たちです。福井で映画を撮るということとはどういうことだったのか、どういう思いを感じたのか、その思いを次世代に伝えていきたいと、そして一緒に「ふくいムービーハッカソン」を盛り上げてくれる人を作りたいと、お話をお伺いしました。
少し前にムービーハッカソン上映会というのを開催して、昔の作品からずっと年代順に上映をしていたのですが、確実に作品の質が上がっている、というのを感じました。徐々に制作した作品が国内外の映画祭で上映されているのを見ると、この街で「映画を作る」人たちのスキルとレベルとコミュニケーション力が上がっていると感じます。
そういう意味では、トークイベントの際に出てきた「大人の部活です」という言葉が自分にとってしっくりくると思っています。中高生が一番情熱を注ぐのは部活ではないでしょうか。汗と涙と笑いが交差する3年間。それを3日間でやる、ということです。3日間の究極の情熱。まさに「大人の部活」。だからムービーハッカソンは止められないです。自分が沸騰するのを感じる3日間を過ごすことができるんですから。
映画祭をつなげる

加えて映画祭の方々。「札幌国際短編映画祭」、「ショートフィルムフェスティバル&アジア」、「各務原映画祭」、「おおぶ映画祭」、「田辺弁慶映画祭」、「千年映画祭」の方をお呼びしました。千年映画祭以外の方は、直接現地に足を運び、直接お会いして、直接お願いをしてきました。まぁ、その会い方もみなさんとはほぼ1回でお会いしてお願いしていますし、津田さん曰く「むちゃくちゃや(笑)」って感じだったんですが。でも足を運んでくださりありがとうございました。
映画祭の方たちをお呼びするのは、それなりに意味を持っています。映画祭って、全国各地で開催されていて、いろんな映画がその場所で流れているのですが、実は映画祭同士ってそんなにつながっていないんじゃないか、って思っていました。もちろんある映画祭から派生して生まれていて、それがつながっていくのもあります。でも、それぞれの映画祭って地域の自発性で生まれているもので、地域の人たちの尽力によって成り立っています。
そういう映画祭自体をつなげたいというのがありました。大小問わず、映画というコンテンツを愛し、その映画が発するメッセージを地域の人に伝えたいという思いは同じです。そして同じように「次世代につなぐ」という思いもありました。そうしたお互いが思っていることをつないで連携したいと思っていました。
これらの「やりたい」を「やる」に変えるのは、本当に情熱以外の何物でもありません。もちろん情熱というのは「人」と「お金」と「場所」と「同志」を集めていくことにほかなりません。言うだけでは何も進まないので、自ら行動を起こす、それしかないと、動き続けてきました。動くということはそれにかかるお金も発生するもので、それはそれで映画以外に稼ぐ手段を見つけ、ここに充てていきました。
お金よりも情熱、お金よりも交流、お金よりも街のにぎわい、お金は後からついてくる、自分はそんな行動原理です。ということで、今回も過去最大の自腹確定でした(笑)。いいです、皆さんが「楽しかった」と言ってくれれば。どうせお金は生きている間でないと使えないものだし、持ち過ぎて苦悩したことも知っているし。
154本から15本

そしてメインの映画祭。今年は154本の応募をいただきました。津田さん含め4人の審査員は全部の作品に目を通し、それぞれが感じたものを選んでいきました。が、実は今回結構な感じで評価した作品は近寄っていました。ですので、ほぼみんな納得できるようなセレクションになったかと思います。
ちなみに、自分がセレクションをする際に考えたのは「この作品を福井の人に伝えたい」です。「こんな世界観があるよ」、「こんな技術があるよ」、「こんな面白いストーリーがあるよ」、「こんな素敵な芝居をする役者さんがいるよ」等々。
短編映画だからこそ描ける世界、短編映画だからこそまとめきれる世界、有名な俳優が出るのだけが良いのでもなく、ましてや観るだけの世界でもない、自分で見つけ、自分なりの解釈も作り、自分で言語化する、そうした、映画を通じて”愉しむ”時間を作ってほしいと願い、選んでいます。
だから、今回ノミネートされた作品は既に「優秀賞」として受賞されています、この映画祭では。ローレル付けてもらっても大丈夫です! 加えてそこからプラスアルファ、練りに練ってグランプリなどを決めて行きます。

きっと受賞作品って、他の映画祭から見たら尖っている感じはすると思います。今年のグランプリ作品『小窓のミチコ』も、監督も壇上で話されていましたが、まさかのまさかだったり。でも発表時に津田さんが話されていたように、選ばれるには意味がありました。
津田さんのセレクションは「心に響くか」なのですが、人の感性ってその人だけが持つもので、でもそれに近しい感性ってあるわけで。今回審査員全員の評価が近寄ったけれども、それはそれで全員が同じ「心に響くか」の感性が近かったんだと思います。
それはつまり、ノミネートされた作品すべてが津田さんの「心に響く」感性に近しいものであって、だからこそ、感性の近しい人たちが集まることで、よりつながりが強くなっていくんじゃないかな、って感じました。
もちろん、違う感性もたくさんあるから、ここの世界がすべてではないんですが、でも、それが「福井駅前短編映画祭」の色になるんではないかな、って思います。自分の「福井の人に伝えたい」と、津田さんの「心に響く」は、同じ福井県民だからかなのか、近しいものであった、という印象でした。
福井駅前賞

あと、「福井駅前賞」という特殊な賞があります。福井駅前短編映画祭の特徴として「ふくいムービーハッカソン」がありますが、その次年度の監督をお願いされる権利が付いているのが「福井駅前賞」です。今年は『タトラゴンは悪くない』の川合一宏監督でした。
この賞は自分が主になって選ぶんですが、その選ぶ軸こそが「目」なんです。これは何を指しているかというと、コミュニケーション力を見ているんです。何故なら、「ふくいムービーハッカソン」とは監督がたった一人で福井に来て、福井の人たちと一緒に3日間で映画を撮るのだから。
見知らぬ街で見知らぬ人たちと映画作り。怖いですし不安ですし、難しいことかもしれません。だからこそ、毎年みんなでムービーハッカソンとして映画を撮ってスキルを培ってきました。監督が一人で来ても安心できるように、と。
コミュニケーション力に長けてる(下手するとうるさい(笑))スタッフがいて、シネマカメラ持ったスタッフがいて、香盤表をまとめられるスタッフがいて、素で演じきれる市民がいて、映画作りを愉しんでくれる、応援してくれる市民がいます。
しかし、受け入れる器は揃えても、「その器はいつもの器とは違うから嫌だ」と拒否しまったら、コミュニケーションは発展しません。「こういう器もあるんだ」と興味を示してくれる柔軟性と好奇心が、コミュニケーションには必須条件です。
それを判断するのが「目」です。それをこれまでの10000人取材経験で培ってきました。目は口ほどに物を言う、という諺があるように、その人の心を映す鏡のようなものだと思っています。
そこで「この人なら一緒にできそうかな」という雰囲気を、目と会話で考えています。作品で決めるのではありません。既にノミネート作品は「優秀賞」として映画祭として授賞する良作だから、作品の質は心配していません。むしろコミュニケーション。ここが大きいです。川合さん、どうぞよろしくお願いします!
映画祭TALK






今回の映画祭トークイベントは、自分の真骨頂でもあるイベントでした。これまで出掛けてお話をして、仲良くなって来ていただいたみなさんです。それぞれお会いしたのはたった1日。それだけで? と思いますが、同じ志、同じ価値観、を持っていると感覚的に思ったからです。
札幌国際短編映画祭のプロデューサー・倉本さんは、昨年の日本国際観光映像祭のときにお会いして、その2ヶ月後には札幌に赴き交流を深めました。
ショートショートフィルムフェスティバル&アジアのプロデューサー・青目さんは、今年の日本国際観光映像祭でお会いしてすぐにお願いしました。
各務原映画祭のプロデューサー・大野さんは、この映画祭でかつて制作した『カタラズのまちで』を上映くださり、その懇親会でお願いしました。
おおぶ映画祭のプロデューサー・辻さんは、ムービーハッカソンでも出演してくれた金沢在住の俳優・星能豊くんが紹介してくれて、映画祭に赴き、そのまま飲み明かしました(笑)。
田辺弁慶映画祭の副実行委員長・田上さんは、毎年訪れる和歌山の宿『霧の郷たかはら』のオーナーが同級生ということで、前日夜中にアポを取り、翌朝に会いに行きました。
千年映画祭の黒川さんだけはメールでのやり取りでお願いしました。
とまあそんな感じです(笑)。でも、どうしてもみなさんをお呼びしたかったんです。間違いなく交流したら話が盛り上がるだろうと思って。やっぱり盛り上がりました。
長編とは、短編とは
皆さんおっしゃっていましたが、長編映画短編映画と区切りますが、世界に出ればそもそも長編だろうが短編だろうがあまり関係ないんですね。もちろん尺の長さによって分けられてはいますが、質に関してはそれは関係ないというか。
以前札幌国際短編映画祭でのトークイベントで驚いたのが、海外では短編映画でも1億円2億円を投じるということ。それほどにマーケットの規模感が違うのかとも感じましたが、行き着くところは同じで、何を作りたいのか、何を伝えたいのか、なのかなって。映画のその先、何を伝えもたらしたいのか、が必要になってくるんでは、と。
短編映画は尺の長さもあって制作期間は抑えられる、つまり予算も抑えられる、という側面もありますし、より挑戦的な、実験的な作品を撮ることもできるというか。そこには新しい可能性や感性を垣間見ることもでき、それが評価されたりもします。
事実、これまで「ふくいムービーハッカソン」で撮影してきた映画は、コロナ明けてからは国内外の映画祭で上映されることとなりました。例を挙げると、
2017年『いっちょらい』ながおか映画祭準グランプリ、はままつ映画祭
2022年『ふ、』アメリカ・トップショーツ月間賞、アメリカ・パサディナ国際映画祭、シンガポール・ワールドフィルムカーニバル
2023年『END of DINOSAURS』ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞
『super sunset』熊谷駅前短編映画祭優秀賞、日本国際観光映像祭
2024年『SWEET SILLY DANCE NIGHT』ハンブルク日本映像祭
てな感じでした。
映画マーケットをつくる
むしろ田辺弁慶映画祭は、インディペンデントの長編映画でそれを実現させ、今では若手の登竜門と呼ばれるまでにその名を轟かせています。この映画祭の特徴が、グランプリ作品が東京で上映されること。その作品がさらに知られることで、商業映画への道筋が生まれています。
短編映画においては、日本では映画祭のその次、マーケットがまだ成熟していないというのもあります。映画館での劇場公開がほぼ長編映画に限られていて、最近では短編映画も、まだまだ数は少ないですが、行なわれ始めています。
今では映画館を飛び越え、スマホでの短編映画サブスクが登場して、少しずつビジネスモデルが生まれ始めてきたり、映画祭がマーケットを兼ね備えることもできています。何よりもショートショートフィルムフェスティバル&アジアはアカデミー賞公認でもあるので、グランプリを獲ったらアカデミー賞レースに乗ることにもなります。
夢があると思いませんか? そんな自分も関わった映画(一つは製作総指揮兼主演男優、もう一つはプロデューサー)が2回、グランプリノミネートされたこともありました。あのとき、「え? グランプリ獲ったらアカデミー賞行けんの??」ってドキドキしたのを覚えています(笑)。
継続こそ力
今から25年前、俳優の別所哲也さんが日本にもたらした短編映画の世界。映画の世界に長編と短編(いや、むしろずっと昔は短編が主でした)があることを知り、それから国内に映画を撮る人が増え、国内に多くの映画祭を生み出しました。
自分たちの福井駅前短編映画祭もその一つです。映画祭は作るのは簡単ですが、継続するのがとても難しいのです。いくつもの映画祭が生まれては消えていきました。それでも続けることができるのは、地域の人たちの情熱と尽力しかない、と思います。その情熱を支える行政の力、企業の力を結集させることです。
今回、クリエイティブに関してはプロのみなさんにお願いしましたが、それ以外はほぼ一人でしました。以下のことが、映画祭において必要なこととして、これから映画祭を始める方に、継続していく方にお伝えしてこのブログを終わろうと思います。
・行政の助成金、補助金の申請(企画書、組織図、予算案など)
・企業協賛のための企画書作成と営業(企業によって協賛できる内容なども考案して企画書に落とす)
・クラウドファンディングのページ作成
・SNSの運営
・サイトの更新(クラファン開始と、映画祭の告知と、開催への思いなどのブログ)
・作品募集
・招待者、参加者分のホテル予約
・開催会場の予約
・作品応募に対しての都度対応メール送信
・審査員に作品選定への周知
・(今回に関して)招待作家やプロデューサーへの対応メール送信
・ポスターデザイン
・審査会の開催
・審査会後の応募者への通知(ノミネート者へは上映承諾ならびに開催のお知らせ)
・クラファン支援者への通知ならびに告知
・サイトの更新
・パンフレット、チケット作成
・ポスター配布、チケット販売、メディアへの告知、取材対応
・開催会場との打ち合わせ
・当日参加者のリスト作成
・賞状作成、賞品購入
・打ち上げ会場の設定と打ち合わせ
・宿泊リストの調整と宿泊地との調整
・当日お手伝いの人の調整
・開催会場との最終打ち合わせ
・開催当日のマネージメント(お手伝いの人への指示、司会進行、参加者への対応)
・打ち上げ会場での進行
・補助金の報告書作成
・次年度の企画
かな。これに加えてムービーハッカソンの内容は同じくらいのボリュームになります。
やっぱ、一人は大変だったので、任せられるところは任せ、当日一緒に盛り上げてくれる仲間は必要です。仲間がいるって大事です。こちらも同じ志の仲間がいたから完遂できましたし、来年も楽しみにしています。皆様、来年も是非一緒に愉しみましょう!