
誰かに会うために
マグロ人間は止まることができません。ちょっとの隙でさえも動こうとします。もうこれは性格でしょう。「誰かに会える」ということが、人生でのプライオリティなのかもしれません。てなことで、この一週間むちゃくちゃ人に会いました。名刺交換しまくりました。
どんな人たちかというと、まちづくり、映画、映像関係の方々です。そう生きる、と決めてからはそうした方々と出会う機会が異様に多いし、だからこそ、出会う度にワクワクが止まりません。
どんなスケジュールだったかというと、
15日朝に「まちなか広場研究会」のまち歩きガイドをした後で、
すぐにバスにのって愛知県の「おおぶ映画祭」に参加させてもらい、
17日夕方に帰ってきてからいつもの「月曜日の男」でビールを注ぎ、
翌朝今度は「まちづくり連絡会議」のまち歩きガイドをした後で、
すぐにレンタカーでぶっ飛ばして岡山県真庭市で開催した「日本国際観光映像祭」に出席して、
20日朝に車をぶっ飛ばして福井に帰ってきてから、翌日プレオープンとなる新栄商店街の「コノジナガヤ」に移転した「MAGOGALLERYFUKUI」の設置をして、
今ここ。
まちづくり福井の存在感

いやーとにかく濃かった。濃い一週間だった。全国のまちづくり団体の方々が一番興味津々だったのが「コノジナガヤ」でした。確かにこのスキームと建築は珍しいことかもしれないです。何よりも建物の中から空が見えるんですから。3つの建物を1つにするリノベーションなので、どうしても隙間はできるんです。それを逆手に取った形にしたので、面白い建物になったと思います。

今回巡ったのはコノジナガヤ、新栄テラス、ヨリバ、FUKUMACHIBLOCK、ハピリン&ハピテラス、福井市観光交流センターと、まちづくり福井が深く関わっているスポットでした。こう考えると、まちづくり福井って相当エキマエに根付いてるよなぁ、としみじみ思います。今年で25周年、しっかり頼りにされてる組織です。
新幹線の功罪

でもって、すぐにバスに乗って名古屋へ。きっと昔なら「特急しらさぎ」で乗り換え無しで名古屋に行けたのですが、今は北陸新幹線が敦賀止まりになったので、しらさぎは敦賀始発に変わりました。
不思議なもので、乗り換えが生まれたことで気持ち的に遠く感じてしまうんですよ、名古屋も大阪も。結構福井って昔から関西とのつながりが深い地域だったんですよ。
「御食国(みけつくに)」と言って、朝廷の食材を供給する場所でしたし、天皇家が途切れそうになったときに、福井から継体天皇が都に移動して天皇家を継ぎ、今の流れを作りましたし、国交省の地域区分は関西ですし。
名古屋も毎回NHKの天気予報では同じ中部地方ですし、大学の進学先でもかなりの人数が愛知県に行きますし。不思議なもんです。こんなに東京が近くに感じるなんて、これまで思ってもみませんでした。といっても、頻繁に行くわけではありません。むしろどこにも出かけなくなった感じです。なので、こんなに集中してバタバタと出かけるのは久しぶりかもでした。
我が”息子”の個展
まずは名古屋に着いて、“息子”のMAGOが個展を開いていたので顔を出しに。本来なら在廊日だったんですが、体調が崩れて来れず、とのことで。最近ホント忙しくて、とうとうガーナで40度の高熱を出して激痛に襲われて、帰国してからウイルスが神経にとどまって右手が上がらない状態で。完治するまで1年はかかるんでは、って。
結果、1970年に開催された大阪万博の太陽の塔の向かいに、彼が作った月の塔の設置プロジェクトは中止に。それでもその状態だからこそ生まれた絵もあって、それがまたなかなか良くて、逆境をプラスに変える力があるよなぁ、とつくづく思います。今年は関西大阪万博ででかい作品も展示されるし、何よりも2度目の”美術館での個展”を今秋、「金津創作の森」で行なわれるので、またまた忙しくなりそうで。
おおぶ映画祭

で、今回の目的であった、大府市で開催された「おおぶ映画祭」に到着しました。今年で9回目となる映画祭に来たのは、かつて1回目に「ふくいムービーハッカソン」に参加してくれた、金沢在住の俳優、星能豊くんが紹介してくれたからです。
「映画祭ゲストのお話を先日少しされてましたが、おおぶ映画祭(愛知県大府市)が3月15日にあります。映画祭ディレクターの辻さんが、今回はハッカソンみたいに映画祭でワークショップ(映画づくり)をされていて、福井駅前と少し共通点があるな、と。津田寛治さんも以前、おおぶ映画祭に行ってました。もし、お時間があり、行かれるようでしたら、ディレクターにはお繋ぎいたしますので、お伝えくださいね」。
行かいでか! と、早速返信して、早速段取りして、ここに来ました。是非今年の映画祭にゲストで来ていただきたく、辻さんにお会いしにいきました。はじめましてなのに、こんなに話が弾むのか、とお互い思ったほどに、話が尽きませんでした。

ずっと話をしていられる人ってそうそういないんですが、ずっと話し込んでいました。映画祭という共通言語があるからなのか、境遇が近いからなのか、とにかく話し込んでました。翌日は夜中まで二人で話し込んで、本当にお世話になり、ありがとうございました! このお返しは福井で是非に!
個性的な映画祭

でですね、「おおぶ映画祭」って面白いのは賞レースではないところです。実行委員が応募された作品から「この映画を観てほしい」というチョイスをして、関係者を全員招待するという取り組みをしています。
このやり方は、監督にとってはピリピリしない分、参加しやすい映画祭という認識もあるようです。みなさんホントに「また来たい」という言葉が多かった印象でした。
それに、市民と一緒に作る映画ワークショップも行なわれて、ワンカットで撮影する作品だったんですが、これはこれで作品としてきちんと成立していて、素晴らしい取り組みだったと思います。全国いろんな場所でムービーハッカソンができたら、それだけで映画祭が可能になるし、映画祭を通じて市民の交流ができることで地域が盛り上がるといいな、と、ムービーハッカソンを続けていてそう感じるようになりました。
ムービーハッカソンってそもそも造語の造語で、別に福井だけの専売特許な言葉でもないから、全国のいろんな地域でムービーハッカソンのムーヴメントが生まれてほしいな、そのためには自分がいろんな地域に行って説明とかしていく必要があるな、と思って積極的に行くように決めています。
すぐ福井で

翌日帰ってきてからすぐにビール屋さんでバイトするんですが、この日も県外からいろんなお客さんが来て、いろんな情報をもらえます。福井に対する印象とか、どんな仕事で福井に来ているのとか、いつもいつも出会いが新鮮です。
でまた、翌朝からまち歩きガイド。今度も別のまちづくり団体の方々で、今回は社員の方にガイドをしてもらいました。自分が話せばできるんですが、人を育てることが今の自分には必要なことなので、あまり口を出さずにサポートに徹しました。でもしっかり話せていたので良かったです。
次は真庭市へ

終わり次第すぐにレンタカーで岡山県真庭市に。よくよく考えたら岡山市まで新幹線で行って、そこからレンタカーでもよかったな…。片道362km、約4時間半のドライブが始まります。何をしにいったかというと、「日本国際観光映像祭」という国際的なイベントに参加しに行きました。
これは世界各国の観光映像が一堂に介して、これからの観光って、映像ってどういうあり方がいいのかな、って話し合うフォーラムの意味もあります。少し前から日本部門の審査員を務めていて、登壇も予定に入っているのと、いろんな人に出会える楽しさがあるから、無理してでも行こう、と。
本当にいろんな人に出会えました。一例で言うと超有名な映画監督とか、世界的に超どデカい映画祭のプロデューサーとか、地域のフィルムコミッションの方々とか、地域のお偉い方々とか、全国各地で活躍している映像ディレクターとか、世界的有名人を起用して映像を作ったディレクターとか、もうきりが無いくらい(汗)。
全国唯一の観光映像祭

それに、この映像祭って、毎年場所を変えて行なわれて、去年は阿寒湖、その前は琵琶湖、その前は与論島、その前は清水寺、その前は大阪梅田(2回)で開催されていたので、各地の街の空気を都度感じ入ることができます。街が抱える魅力、そして課題を知り、話をして、咀嚼して福井にフィードバックして実践することができるんです。
今回は真庭市にお邪魔して、歴史や文化を知ることができました。会場が国の文化財に登録されている「旧遷喬尋常小学校」でという極渋建築物。明治40年に木造で螺旋階段作っている極渋さ。映画『Always三丁目の夕日』でもロケ地になっていました。
牛の街

昔はお隣の津山市とともに、牛の市で繁栄したそうです。その歴史がなんとも8世紀初頭からだってことが驚き! 昔の人は肉食べなかった、って思うでしょう? 実は食べてたんです。仏教が入る前は。でも天武天皇が「肉食べちゃダメー!」って法律作っちゃって、以来約1000年くらいは食べなかったんですが、津山市は薬として牛肉の「養生食い」が許された土地だったそうです。
真庭市はその山一つ越えた場所だけに、食べたんかなぁとは思いながらも、津山市のように牛肉系の名物(ホルモンうどん、牛肉の煮こごり)などがないので、そうでもなさそうで、でも地元の人たちはこの地を天領だったと言っていたので、別の意味での天領だったのかも。

あ、でも、打ち上げでお世話になった『割烹旅館おかもと』さんの名物は「牛鍋」でした。これ、マジ美味いです。トマトがアクセントになっていて、甘みと酸味を加えてくれる逸品です。
牛の市が立っていたのと、倉吉市、米子市、松江市から岡山市に向かう際の中継地点にもなっていたので、街道の宿場町的な役割もあって、今もそうした民宿が昔の商店街沿いにあります。そしてそのほとんどが同じ一族だというから、相当古そうな歴史を持っていそうです。
でも、真庭市には蒜山(ひるぜん)高原があって、ジャージー牛を育ててるので、道の駅やサービスエリアに行くと牛乳を使ったお土産がめちゃくちゃあります。やっぱりこの街は「牛の街」なんです、今も。
木の街


加えて「林業の街」でもあります。岡山県最大の土地面積で、林野率が79%。西日本でも屈指の木材産出の地なのだとか。今回映像祭でお世話になっで一緒にごはんを食べた方々は2人とも林業を生業とされていたんです。
これは偶然ではなく、ライバルでもなく、伐採と加工という補完し合う間柄。それに仕事が立て込んできたときは仲間の業者にマージンも取らずそのまま仕事を振るという、「今だけ、金だけ、自分だけ」ではない、街全体で助け合う精神があります。
広葉樹、針葉樹両方あるのですが、この地域は大体針葉樹は山の麓に、広葉樹は奥に生えているそうです。主な材木が「美作檜(みまさかひのき)」だそうで、実は過去10年で7回、檜生産で日本一になっています。こうした精神と自然の恵みが日本一という称号をいただいているんですね。
こちらに来て気になった言葉が「CLT」でした。ホテルにも名前が付いてるし、なんやろと思ったら、遷喬小学校に展示してあったもので理解しました。「Cross Laminated Timber」、日本語で言えば「直交集成板」といって、木目が垂直になるように重ね合わせた木材のことで、ヨーロッパで開発され、真庭市の材木会社の方が日本に初めて導入したのだとか。
ちなみにCLT、大阪関西万博の目玉でもある「大屋根リング」でも使われているんですよ。おお、それなら日本産の木材かと思ったら海外産なんだとか…。昨年のイベント「ぐるぐるふくい」でトークセッションの際に聞いた、「木材こそが日本が唯一持つ自然資源」が思い出されます。
林業の大いなる矛盾
日本は森林は多いのに、開発で伐採できなくなってしまい、今や放棄される森林が多いそうです。土砂災害の危険性(枯れて根っこが緩み土壌が緩む)、二酸化炭素吸収減(成木は二酸化炭素をあまり吸収しない)と、ちょっと怖い未来が待ち受けているのに、目の前の木を伐採して加工するよりも、輸入したほうが安いという現実。
うーん、なんか矛盾してる気がする…。万博だけに、日本の唯一の自然資源をアピールするいい機会だと思ったけど、なんやかんやと施工費用の高騰で世間から叩かれてただけになぁ…。でも万博はやっぱり行ってみたいです。前回の万博はまだ母のお腹の中にいたからね。
そんなことを思いながら、食べきれなかったグルメもあったので、今度は「おかもと」さんに宿泊して再度訪れたいと思います。でもって、すっ飛んで帰ろうと、
でもちょっと隣町も見てみたいと、津山市までは下道で。道の駅にたった一人で作ったガンダムがいたのは驚きましたが、牛の煮こごりはしっかりと売ってました。あれ、どうやって食べるんだろ…。
コノジナガヤ

夕方には着いて、早速ギャラリーの展示に。どうしても大きな作品は二人がかりで設置しないと難しく、それが終わってからはちまちまと、考えながら設置していきました。
そして21日、『コノジナガヤ』のプレオープンで、メディアもたくさん来てました。ギャラリーはタイミングよく、日曜日に「ワイドナショー」で紹介されたので、それを機に訪れる方も多くいらっしゃいました。


まだまだ設置も終わってないのですが、ゆるゆるとやっていこうと思います。やることが細かすぎて、雑な自分は時々疲れてしまうんですが、この場所ならではのギャラリーを作っていこうと思っています。また福井に来るときがあれば寄ってみてください。

加えてNPOの事業でまち歩きガイド育成の最終段階に来たので、最終確認のまち歩きを行ない、やっとガイド育成の目処が立ちそうです。次年度も募集します。最高の最深の講師陣で福井を知る機会を、福井を誇りに思う機会を体験してください。



コノジナガヤ!
行ってみたくなりました。
オープン準備等、お疲れ様でございました。
またきてください!ゆかよろこび!